一瞬がつづいて今
【近況】
7月にメニュー改定をしてその後の8月も合わせてあたふた過ごしていたら、5年前のオープン以来初めての問い合わせが入りました。テレビ番組での紹介です。
10/24(火)夕方の情報番組「ten.」(よみうりテレビ)内の、「おでかけコンシェルジュ」というコーナーに取り上げてもらいました。
関西圏のみですが、18時20分ごろからの放送ということですので、その時間テレビが点けられる方はぜひご覧ください。
しばらくの間、ほぼ1人か2人で完結する仕事だけをやってきていたので、毎日チームで仕事に取り組んでいる方たちと少しの間でもご一緒できて、その熱量にたいへん刺激をもらうことができました。
タレントさんによるプロの食レポにも感動しました。私の喋っているシーンも、使われているのかどうかわかりませんが、ご覧になった方はぜひお店で感想を教えてもらえると嬉しいです。
5年目の脂汗
【近況】
ありがたいことに、このブログを更新する暇がないくらい忙しくさせてもらって気がつけば初めて1ヶ月更新を放置していました。
忙しいといっても、儲けまくりの1ヶ月だったということではありません。
今年のテーマは体を使う時間を減らして頭を使う時間をもっと伸ばしたいというところでして、そのためのメニュー変更や価格変更をすすめるなどに時間をかなり要していました。
特にランチメニューは(自分としては)大きな変更でした。メニュー数は半分以下、主たるメニューの価格は実質2割値上げとなりました。
コロナ禍の影響が大きかったこの4月末まではランチ営業の売り上げはかなり大きな生命線で、価格と内容を評価していただけたのか毎日並んででも入っていただけるほどの日が続いていました。
しかしそうなると仕込みと営業の負担が大きく、夜の来客が戻ってくる中で昼夜ともに準備はもちろんメニュー内容を練る時間もなく、かなり不本意な営業を繰り返すことに強い違和感が続いていました。
肥後橋周辺で毎日働くみなさんの昼食を支えるということに強いやりがいはあったのですが、そのままの価格と内容で続けてもただ頭の中を無にして作業を繰り返すことになると感じ、頭を使う時間をもっと確保するために価格と内容をコントロールすることにした次第です。
人を雇って賄えるほど利益が出ていたならよかったのですが、いくら忙しいといっても小さな店では残るものもたかが知れていてそれもままならず、つくづくこの仕事の難しさを痛感しています。
実際ランチの来客は減っていて、当面の売り上げは落ち込む見通しですが、時間は確保できることが増えたので、仕込みやメニュー考案などに使える時間に役立っています。
ただ、これがかならず今後の安定や成長につなげられるかは、正直わかりません。おそらく次から次へと問題は積み上がってくるでしょうし、別の負のスパイラルに陥ることも十分に考えられますが、違和感をそのままにしないで新たに選択をすることが正しいはずだと、今は信じて進んでいきたいと思っています。
地に足と目線
【近況】
豊中Pont 3-8-4にて夏に4日間、大学生向けのキャリアデザインセミナーを開きたいというお声をいただきました。
https://www.instagram.com/motosr_office/
今回の方は、企業の人事部として働きながら、これまでの経験をもとに始める新しいチャレンジということで、セミナーを開くこと自体が初めてという方でした。そういった人に見つけて選んでもらえるのは嬉しく思います。
当スペースの利用を検討される方の年齢層は、20代〜30代前半と、50代以降に大きく二分されています。
自分が属する40代というのは見事にすっぽり抜けているという印象です。
知人周りを見渡せば、もうそれぞれに組織で責任のある仕事をこなしているか、子育てに多くの時間を必要としているか、独立してそれなりに歩み出しているか、という人が多いように感じますから、おのずとそういうものなのかもしれません。
当初の想定よりよくお会いするのがまだ20代という若い世代です。ここ何年も、一回り以上離れたような世代と話をする機会がなかったのですが、接してみると自分が20代のころよりもコミュニケーションが率直な印象を感じます。
相手が年上だからといって別にそこまで頼りにしてもいないといった頼もしさがあり、かといって見栄や虚勢めいた過ぎたアピールもない、まさに「率直」という言葉がふさわしい振る舞いを感じます。
何かを始めようという前向きな人たちだから特にそうなのかわかりませんが、自分がそれくらいのころ40代は相当大人に見えていましたし、そんなに自分に自信があるわけでもなかったので知ったかぶりをしてしまったりと今思えばいろいろちぐはぐな振る舞いで接していたように記憶しています。
せっかくの機会なので、彼ら若人の姿勢に大いに学んでいきたいと思っています。
蘇る息づかい
【近況】
豊中Pont 3-8-4で、お菓子教室がはじまることになりました。
https://instagram.com/ripplering2009?igshid=MzRlODBiNWFlZA==
料理教室での間借り利用はオープン当初から想定していたものの、実現にはまだ至っておらず、今回ようやくスタートすることになって嬉しい限りです。
聞けばオーナーさんはもう10年以上前から自宅でのお菓子教室を開催してきたベテランで、一時は月に8グループもの生徒さんを抱えていたと聞きました。
コロナ禍で対面の教室ができないまま3年近くが経ち、今年ようやく再開をめざしてレンタルキッチンを探していたそうです。
近頃のテーマは「ベーキングセラピー」というキーワードで、お菓子作りの一連の流れ(素手で粉をさわる、形作る、焼き上がりを待つ など)が気持ちを落ち着けるのに役立つという視点を提案していくことを目指すそうです。
オーナーさんとの出店までの打ち合わせを通じて、料理教室もまたコロナ禍で遠のいた対面のコミュニケーションの一つだったことを痛感しました。改めていま、対面で何かを共有する魅力を生み出すお手伝いができることを嬉しく思います。
節度あるノスタルジー
【近況】
ほぼ毎朝仕入れに立ち寄る鶴橋駅前には、早朝から買い物ができる肉、野菜、鮮魚その他専門店が集まった市場があります。
一帯は戦後の闇市が始まりといわれ、商店街の中は看板から屋根から照明、電線、アーケードなど長年継ぎ足しで増築していったと見られる複雑な構造で、自分が小さい頃祖母によく連れられてきた30うん年前から、その印象は今もほとんど変わりません。混沌とした細い道の奥はどこまで続いているんだろうと考えるのは大人になった今でも楽しくあります。
最近は韓国若者カルチャーを反映した飲食店や物販店が増え、それらの派手な電飾と色使いがあいまってさらにエネルギッシュな雰囲気に満ちています。
そんな一角に古くからの鮮魚市場があります。朝から海の匂いが立ちこめる、コンクリートと裸電球が剥き出しのその一角は、鮮魚だけでなく塩干物、昆布・鰹節、促成野菜(刺身のつまなど和食の添え物)、珍味、消耗品パッケージ類など食にまつわるいろんなものが手に入る場所でした。
しかし、耐震基準を理由とした取り壊しを前に2年前、入居する業者に立退きと引越しが求められていました。
そもそも高齢の店主が営む店が多かったためか、それを受けて7割くらいの店が閉店の貼り紙を出していたように思います。残り3割の半分はすぐ近くの閉場した別の市場があったエリアを個々に改築して移転し、もう半分の店舗は立ち退きに反対という姿勢で引き続き同じ場所で営業を続けました。それなりににぎやかだった市場の半分はほぼ真っ暗となり、残った店舗の灯りだけとなって2年が経ちました。
先日電車から、市場の屋上駐車場が取り壊されているのが見えました。時折立ち寄る魚屋さんにいよいよ立ち退きなのかとたずねてみると、市場の入る建物の半分を先に取り壊して新たに小さな商店エリアを作り、今残る店舗がみなそこに移転するということでした。
今の建物は耐震のことも気がかりだったので、いったん丸く収まることに部外者ながら安心したのですが、同時に、今まで見てきた市場の景色が二度と見られなくなる寂しさが一際強まってくるのでした。
しかしそう感じてしまうのは、自分が取り残された側の目線になってしまっているからであって、懐かしさを理由に変わらないことを望むのはおかしいと思い直しました。これを機に一帯の若返りがさらに進むことを願う今日この頃です。
手で手と手を取り合って
【近況】
豊中Pont 3-8-4で間借りしてくれている各オーナーさんの中には、長い人だともう10ヶ月続けてくれている方がいます。ほか、始めた時期はバラバラでも、定期利用で入ってくれたオーナーさんは2ヶ月〜半年とつづけて出店してくれています。
始める前は、レンタルスペースやシェアキッチンのいろんなトラブル事例を調べて戦々恐々としたものですが、今のところ幸い大小含めてトラブルは起こっていません。
もしかするとこの後すぐにでも信じられないようなトラブルに出くわすのかもしれませんが、この仕事はそれを踏まえてでも始めたいと思ったことなので、そこそこ受け入れる覚悟はあるつもりです。
腰をすえて続けてくれているオーナーさんの様子に触れていると、みなさん夫婦関係・家族関係が良好なんだろうなということを感じます。
それは、表面的に仲の良さが見て取れるというより、オーナー当事者とパートナーたる家族との間に、非常に落ち着いた呼吸を感じるといったイメージです。
前のめり気味なオーナー+ドライな奥さん
慎重派のオーナー+大胆な旦那さん
猪突猛進型のオーナー+それを淡々と支える娘さんやご兄弟
等等、バランスよい家族関係があるからこそオーナーも注力できるのだと思いますし、その様子を傍からみると改めて面白いなと感じます。
これから先々、各オーナーが間借りを続けるにしても辞めるにしても、そのご家族にとってもよい記憶が残るようにサポートしていきたいと思います。
指先辿った果てに
【近況】
主にチェーン系飲食店での注文や支払いの無人化が進んでいます。この流れの先に、それらに携わってきた人たちの仕事がより人間らしい仕事になっていくことを期待しています。
まず、安さや便利さを求める食事を提供する仕事は徹底して無人化されることを望みます。
かわりに、食べる楽しみや過ごす時間に価値を求める食事を提供する仕事は、もっと深く幅広く人が携わっていくことで魅力を磨き、働く人は今よりも健康で安定した労働と生活を送れる仕事になってほしいと望んでいます。飲食業に携わるということはそういうことだ、という世の中になればいいと思っています。
安さや便利さだけで選ぶ食事も必要で、楽しみとしての食事も必要です。これまで外食に携わってきた生身の人間として、後者をもっと盛り上げることに力を注ぐ者でありたいと思います。
無人化といえば牛丼チェーン松屋の、新しいタッチパネル券売機がわかりづらいという話題がありました。
実際自分でも利用してみましたが、これは高価格メニューやサイドメニューの表示回数を増やして、売り上げや客単価を上げるための誘導を強める作り込みにしたゆえの分かりづらさだと思います。
古のファストフードでおなじみの「ご一緒に〇〇もいかがですか?」を画面で連発されているようなもので、単品だけの注文はなるべくさせまいという思いを感じました。おそらく先行でいくつか試してみて最も成果を上げた操作画面を全店導入したのでしょう。
こういうことを頑張るのは未来ある無人化の進め方とは思えませんが、過渡期を経て数年後に飲食店のあり方がどう変わるのかが楽しみな今日この頃です。