10月は暑い?涼しい?
【近況】
いよいよ9月も終わりますが、どうも未だに暑さを感じる時間もあって不思議な感覚です。
先週から日替わりメニューに「おでん」を始めました。当店名物の土鍋ごはんにも使っている、函館の古武井町産の真昆布と、鶴橋の鶏肉屋さんで仕入れる国産鶏「ウイング」(手羽先と手羽元が1つになった部位)からダシをとってます。
具材は大根や厚揚げ、こんにゃく、ちくわといったシンプルなものだけですが、ウイングから出るダシがなかなか効いています。煮込まれたウイングそのものも、トロトロの食感でまたおいしい。
家庭でおでんをつくるときのポイント。ちくわやはんぺんなど市販の練り物を使うとどうしても全体に味が濃くなりがちです。
せっかくのおいしいダシで作るときは、あえて練り物をお湯で10〜20分ほどゆがいて味を抜いた方が、全体的にバランスよくまとまる気がします。厚揚げやごぼう天などの油ものも、おなじくゆがくことで油を徹底的に抜くほうが良いようです。
【記憶に残ったお店の味 その1】
土鍋ごはんを看板にかかげる当店とダシの話は切っても切れない関係です。関西に生まれ育ったからこそ、ダシの味を大切にする店をつくりたいと思ったのかもしれません。それほど、関西の食生活はダシの旨味を大事にしていると思います。
その中でももっとも身近なのは、立ち食いうどんの店でしょう。記憶にずっと残っているのは、近鉄八尾駅に併設されている「河内うどん」です。八尾駅前で深夜まで働いていた時期があった関係で、朝方家に帰る前によく立ち寄っていました。
特に気に入っていたのは肉そばに卵を入れたものでした。いまや有名になった肉吸いのように、うすーくスライスされた牛肉がふわふわとつゆに浮かんださまはいつ思い出しても愛しくなります。
うどんもそばも、ほかの立ち食い系とおなじくゆで麺なので、麺にコシがあっておいしいというタイプではありません。しかし、何よりダシが充分に効いているので、つゆはいわば旨味のつまった吸い物です。その味を堪能するために、麺はあくまで脇役。ダシをほどよく吸ってくれるやわやわのうどんやそばだからこそ、味わえる感動があります。
この店は大きなカウンターがあり、中で麺茹でから盛り付けまで見ることができます。何度も通ってカウンターの中をよくよく見ていると、パンパンに削り節のつまった袋が棚にしこたま並んでいるのを見つけて嬉しくなったことを覚えています。
大阪には他にもたくさん立ち食いうどんでダシのおいしい店があります。その中でも一番通ってダシの味が体に染み込んだのが「河内うどん」だったと思います。
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