未だに台風が…
【近況】
妙に暑さの残る一週間がおわり、何となく爽やかに涼しい週明けになりました。しかしまだ台風が南の方に発生したようです。今年だけでなく、今後は年々そういった気候になっていくのかもしれません。
10月一週目、ランチは相変わらず忙しく、反面夜は週末まで落ち着いた営業でした。そういった余裕もあり、増税にあわせて価格を見直すメニュー変更を行いました。
といっても、増税分値上げするのではなく、おおよそ全体的に8パーセントほどの値下げです。
もともと増税の時期には価格を下げる方向で、これまでの客単価を試算していました。たかだか2パーセントの増額といえど、もともとそこまで安くない単価なので、このままの価格でいけばネガティブなインパクトになるだろうと考えていたからです。
また、年末に向けまだまだこれから初来店のお客様も増えるタイミングなので、価格と満足感のバランスを若干整えられたかなと思っています。
スーパーや大手チェーンの居酒屋の動きをみていると、今のような増税のタイミングや、閑散期など客足の鈍る時期になると、なるべく食材のコストを抑えた商品を、大々的に売り出す傾向があるようです。とあるスーパーでは「鶏むね肉」の唐揚げを産地や製法へのこだわりを武器に強力に売り出していました。
銘柄にもよりますが、鶏むね肉は鳥もも肉の2/3〜半額ほどの仕入れが可能です。それだけ余らせている生産者が多いという話も聞いたことがあります。もも肉にくらべてパサつきやすいムネ肉を、おいしい唐揚げに開発する涙ぐましい努力が、夏前ごろには各チェーンの商品開発室では行われていたのかもしれません。
【ぽんたんのキッチン紹介 その1】
当店のキッチンの内情を、思いつくままに紹介していきます。今回は「既製品」について。
こんにちまで約1年営業してきましたが、当店では最終的な味付けまで調整された既製品をほとんど使っていません。
たとえば、解凍するだけで使える豚の角煮や鴨肉のロースト、開封すればすぐ使える照り焼きのたれやステーキソース、ドレッシングといった類のものです。
その理由は、おいしさや添加物が気になるから、ということではありません。
①使いきれない
恥ずかしながら、忙しい日もあればとんでもなく暇な日もある、まだまだ規模の小さい店です。業務用のそういった食材は、内容量が多く、また場合によってはまとまった量を1ロットとして仕入れなくてはならなかったりして不便なのです。
また、1から手作りしたものは意外と日持ちしますが、既製品は開封した瞬間が一番おいしくなるよう作られているものが多いためか、使いきれずにいるとたとえ冷蔵庫に入れておいても時間が経てば風味が色あせて感じてしまいます。
②味付けの強さ
今日となっては、あらゆる既製品の味とそのバリエーションはたいへんめざましいものがあります。サラリーマン時代に大規模な展示会に何度か足を運んで痛感しました。安全面もきわめて厳しく作られていると感じます。
非常に競争がきびしい環境であるためか、本当に味がよいものが多いのです。
そのせいで、他の料理とのバランスを取るのが難しい。一口食べておいしいと感じるくらい、味が強いのです。
1つ既製品を入れることで、これまで作っていた他のメニューの味のバランスを見直すことになりかねないのです。手間を省くための既製品が逆に手間を増やすことにつながってしまいます。
③使い道が限られる
これまで述べたように、既製品は開封してすぐおいしく食べられるものがほとんどです。完成されてしまっているので手を加える余地があまりありません。
となると、実際メニューに導入してもお客様の反応がイマイチだったとき、別のメニューに転用するのが難しい。
たとえば「本格トンテキのたれ」というアイテムがあったとします。トンテキの味付けに特化されているので、豚肉の香りや水分といった特徴や、咀嚼している時間とその間の味の続き具合、ご飯と一緒に食べたバランス等においてすぐれています。反面、他の肉や野菜と合わせてもぼんやりした印象にとどまってしまうことが多いのです。
小さい店において、いつか使うだろうと死蔵されてしまうアイテムは無いに越したことはありません。自然と、醤油やみりん、みそなどの基本調味料の組み合わせでやりくりしたほうが、無駄がないのです。
色々といいわけを連ねあげましたが、もちろんまだまだ私自身の調理の経験が少ないことも既製品をつかいこなせない原因です。うまく取り入れることができるようになるのも、大切な知見だと思ってはいるのですが、難しいところです。
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