おでんの適温
【近況】
ようやく夜の気温も下がってきて秋らしくなってきました。とたんに、9月末ごろから始めた「おでん」が徐々に、というより急に人気を集め始めました。
すこし前まで、これ以上注文が入らないようなら止めようと思っていたほどでしたが、おでんを始めるのが早すぎただけのようです。
当店のおでんはシンプルであっさりしたおでんです。だしは函館産の真昆布と鶏手羽、おでん種は、大根、たまご、ちくわ、厚揚げ、こんにゃくが基本のラインナップです。
昨年はおでんを断念したという悔しい経緯がありました。
その時は、おでん種も他の料理とおなじくらいは手をかけたものにしようと力が入りすぎてしまっていました。手作りのひろうすやつみれ、しんじょう等、仕上げたものの、このままだと普段の仕込みが間に合わないという判断であきらめたのでした。
今年はもう考えすぎないようにしようと、メニューの幅をすこし広げるくらいの意気込みで取り組みました。
結果、気軽に食べてもらえるくらいの価格で、早く提供でき、仕込みの負担も少ない人気メニューができたのでまあよかったなというところです。
「味を足す」ことに気を取られていた去年の試作おでんと違い、今回のおでんは「味を抜く」がキーワードになりました。特に、下茹でした大根は1〜2時間水にさらすことでよりおいしいおでんになるそうです。
【ぽんたんのレシピ紹介 その3】
今回は当店ほとんどのメニューの基本「だし」の取り方について。
レシピというほどのものではありませんが、今のところ当店で仕込むときの手順と基本の分量は次の通りです。
・水 2リットル
・昆布 40グラム
・削り節 60グラム
①鍋に水を張り、昆布を入れる
②沸騰直前まで火にかけ、弱火に落とす
③昆布に爪を立てて、爪あとが残るほど柔らかくなったら引き上げる
④いったん火を強め沸騰させ、コップ一杯ほど水を入れて沸騰をおさえたらすぐに削り節を入れる
⑤一煮立ちする直前に火を止める
⑥削り節が沈みかけるくらいで布とざるで濾す
※クセが出るのでだしガラは絞らない
※すぐに使わない場合は鍋やボウルにうつし、氷水に当て冷やします
使う材料にもよりますが、大体はこの分量でかなり味のしっかりした「一番だし」ができます。 過去にだしを取ってみたことはあるけど、あんまりおいしくなかったという人には一度ためしてほしい味わいです。
このときのだしガラを 1リットルの水に入れて沸騰させ、さらに削り節をひとつかみ入れて二割ほど煮詰めてできあがるのが「二番だし」になります。
それぞれ、
一番だし…
だしの香りを活かしたい吸い物やすまし汁、野菜など淡白な素材に強いうまみと香りを加えたい料理に使う
二番だし…
一番だしより香りが弱くクセが強く出ているため、味を濃いめに仕上げる煮物や味噌汁、炊き込みご飯に使う
といった特徴はあるものの、絶対そうしないと台無しになるというものでもないので、各人の事情にあわせて使っていけばいいと思います。
当店では味噌汁以外はすべて一番だしでまかなっています。自宅ではもったいなくてなかなかできませんが…
※調理工程や、使う調味料について等、詳しく知りたい方は遠慮なくお店でもネット上でも質問ください!可能なかぎりお答えします