閃きはすべり気味
【近況】
6月に入り、ランチに戻って来られる方がちらほらと増えました。お客さんによっては2か月以上も完全リモートワークだったという声も聞きます。
しかし3月までランチにしょっちゅう来てくださっていた方の中でも、今もまだお見えになっていない人もたくさんいます。人の流れが変わった中で、また新たなお客の層を作っていく必要があることを感じます。
3月後半あたりから5月後半までの間は、たくさんのアイデアが思いついては消えていった2か月でした。
特に、4月頭の緊急事態宣言が出たあたりはやたらとメモが残っていて相当焦っていたんだろうなということが伺えます。
・早朝からオープンする
自粛期間とはいえ、出勤している人はそれなりにいるので営業時間を拡大すれば少しずつでも売り上げが伸ばせると思い検討しました。
大手チェーンのコーヒーショップも休業中でしたので期待を膨らませて周辺を朝歩いてみました。
多くの人が流れる時間がたいへん短かった(8:30から9:00まで)ので、あきらめました。
・テレワークスペースにする
フリーWi-Fi、電源使用可で、ランチが始まるまでの2時間くらいをワンドリンク付きのフリースペースにすることを考えました。
試しに、店の前の道をどれくらい人が通るか調べようとカメラを置いて見ながら仕込みをしてみました。ゾッとするくらい人が通らなかったので、あきらめました。
・YouTube配信
あまりに日々することがなくなったらやるべきかと思い、検討しました。
毎日1種類ずつ土鍋ごはんを炊いて紹介する、ひたすら好きなレシピ本を紹介する、毎日の仕込み風景をただただ流す…等々、いろいろ考えました。
幸い、全く来客がないような日はなかったので、実行には至っていません。
ほかにもまだまだ色んなメモが残っていて、紹介するとキリがありません。
やってみて良い反響のあったものもありますので、無駄ではなかったのかなというところです。
ひとまず安心できるかどうかは別としても、少しずつはお客さんも戻ってきてくださり、外食を楽しむ時間を過ごしてくれているのを見られるようになって何よりだと思っています。
【ぽんたんのキッチン紹介 その10】
鶴橋駅の改札を出た周辺にある商店街に、包丁や厨房器具を売っている「源正道商店」という刃物屋さんがあります。
驚くのは、建物としての店舗があるのではなく、リヤカーで運んできた包丁やまな板や鍋などの調理器具を、近鉄電車のガード下の道に並べて売っている「露店」である点です。
刃物の露店というのは色々セキュリティがよくないような、武器があるという点ではセキュリティが非常に強いような、変な感じがします。しかも、一部の包丁は剥き出しで簡素な棚に無造作に積まれていたりします。(売れるまで刃は研ぎ上げていないそうですが)
だいたい1人の男性(見かける限り、平日と土曜で違う人)が、接客以外の時間はひたすら包丁を研いでいます。
数ヶ月前に、いよいよ包丁を買ってみようと思い立って仕入れの途中に寄りました。何にでも使えそうなあまり大きくない洋包丁を買うことにしました。
支払いをしている間、いろいろ話を聞くことができました。30秒に一回くらいは「うちの包丁はめちゃくちゃ切れるから」と会話に挟む印象的なおじさんです。
かつての鶴橋には鮮魚卸売市場があるおかげでお寿司屋さんが多くあり、それらの板前さんはほとんどここで包丁を買ったり研がせたりしていたそうです。もっともその頃は固定の店舗があったようですが…
肝心の切れ味のほうは、失礼ながら正直心配していたところもあったのですが、いざ使ってみると目につくもの何でも切りたくなるくらいの素晴らしい切れ味でした。近々、他の包丁も一緒に研ぎ直してもらいに行く予定です。