引き算の覚悟
【近況】
2度めの緊急事態宣言で夜の営業は酒類の提供が19時までとされているため、閉店後に店を出てもさすがに食事帰りの人を見る機会はほとんどなくなりました。
遅くまで働き夕食を外で日常的に済ませていた人たちはなかなか辛い日々かと思います。
じゃあ自炊でもすればというと、それも酷な話です。食事というのは作ることも面倒ですが、洗い物、掃除、残った食材の扱いがことさら面倒なものです。
自分自身、店に立っていると、一日を通して料理を作っている時間より整理整頓と何かを洗っている時間のほうがずっと長いということを感じます。普段から忙しくしている人にはあまりに負担でしょう。
とはいえ、出来合いの弁当や惣菜、冷凍食品がつづくとその味に飽きるのはあっという間です。
そこでおすすめなのは納豆、干物、豆腐といった、加工や味付け度合いが少ないおかずです。
自分で味は調整するとして、醤油や塩にちょっとお金をかけると満足感も上がります。海苔やかつお節、七味唐辛子といった保存のきくトッピングも活用すると、わりと飽きずに食べ続けられることだと思います。
しかしながら、今や雑誌やTVにはまるで広告のような番組特集が増え、気軽に立ち寄れるのは忙しなく商品が入れ替わるスーパーコンビニとなり、スマホを開けばフードデリバリーの広告が目に入ってくる毎日を過ごしているせいか、粗食ですませようと思ってもどこか物足りなさを煽られている気もします。
【おすすめレシピ本】
永久保存レシピ 一流料理長の 和食宝典/世界文化社
家庭向けのレシピ本ですが、「しっかり作りたい読者の声に応えた」とあるように比較的手の込んだ基本の和食レシピが豊富に載っています。
昨今もてはやされる時短メニューとは対極にあるような本ですが、丁寧に取り組みたい時にはかなり頼りになる一冊だと思います。
食材の外さない組み合わせ、丁寧な下拵え、季節感が生きる味付けなど、過剰すぎることなく、物足りないということも決してない、多くの人にとって基準となりそうな味がたくさん紹介されています。
特に下ごしらえに関しては、知識としてあればあっただけ役立つものだと感じます。
魚の臭みの取り方、肉に下味をつける手順、野菜の切り方や下茹でなど、省略してももちろん作り始めることはできるます。でも、そのことで味がどれくらい良くなるかを知っておけば他の食材に応用することができ、センスと知恵が身につく最初のきっかけになるでしょう。
他には、和食で基本となる醤油、みりん、だしの比率による味の違いや見やすい写真と盛り付けもかなり参考にできます。
和食で頼れる一冊を選ぶならおすすめです。