炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

ほどほどの懐

【近況】

しばらくの間、テイクアウトの打ち出しを強めています。数としてはわずかですが、去年の春ごろと同じく、状況的に弁当を買ってくださるお客さんが増えています。

 

弁当といえば、会社勤めしていたころの最後の方は毎日お昼は弁当を持参していました。弁当といっても横幅12センチくらいの小さな弁当に、少しのおかずとお茶碗7分目くらいのご飯です。

その頃はほぼ一日中デスクワークと商談だったので、昼休憩で外食をすると満腹になりすぎて眠くなる&太るという問題があったためです。

 

はじめは、外食で毎日好きなものを食べにいくのが楽しみなのに、毎日ちょっとのおかずとご飯だけになるのはきついんじゃないかと思いました。

しかし、日を追うごとに、毎日食べ続けるものは正直そこまでおいしさを意識しすぎないくらいがいいものだと、この時強く感じました。

 

当店の方向性としては、たまの単発ランチに使いたい店というよりは、定期的に通いたい店としてありたいと考えています。何回食べても飽きないくらいの味に整えることは、繰り返し通ってもらえるポイントだと思っています。

味の強さ、食べに来てもらう頻度、それらに見あった価格帯のあいだには、今後もまだまだ深い関係が見出せそうです。

 

【ぽんたんのレシピ紹介】

「だし巻き玉子」は「だし」を使わない方がおいしいそうです。

2年くらい前にテレビで見て、びっくりしました。

 

だしの代わりに「水」を入れるということで、番組内で食べ比べをしていました。

わざわざ取り上げるくらいの話ですから、出演者は当然全員が「水でつくるだし巻き玉子のほうがおいしい!」と大絶賛です。

もちろん、そんなわけないやろと自分は冷めた目でした。だしの代わりに水とはあまりに味気ない。

 

それから随分と時間が経ち、すっかりそんな話は忘れていました。

そこへ、折からの時短営業です。あまりに時間を持て余していたところに、水で作るだし巻き玉子を思い出しました。

 

半信半疑で卵を溶いてひとつまみ塩を入れ、だしの代わりに水で伸ばした卵液でだし巻き玉子を焼いてみました。

 

いざ食べてみると、思っていた味気なさとはほど遠い。しっかりとした「卵の味」がしておいしいものでした。

一方、だしで溶いただし巻き玉子は、ホカホカのだしの香りと味わいがやはり安心のおいしさです。ただ、だしを使わないものに比べて、卵の味がだしの旨みに隠れてほとんど目立ちません。ふっくらした食感は、どちらもやはりだし巻き玉子ならではの味わいです。

 

意外なおいしさでした。水を入れないふつうの卵焼きよりも、卵のクセが薄まるのでちょうどよい風味になるのかもしれません。

だしのおいしさを味わいたいか、卵の豊かな風味を味わいたいかで、作り分ける楽しみができたような気分です。

 

・卵 2個

・塩 小さじ1/3

・水 30〜50cc (多いほど焼くのは難しい)