炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

寄る食い気には勝てぬ

【近況】

3月を迎えて折良く時短営業も1時間だけ緩和されたので、春の食材を少しずつですが仕入れることができます。

営業時間も伸びたしちょっと気温が心地よくなってきたしと、ついいい気になってあれもこれもと買ってしまい店の冷蔵庫があっというまに一杯になってしまいました。

 

春の食材にはほろ苦いものが多くありますが、それらを口にするとやっと冬の寒さが終わるという安心感をおぼえます。菜の花、たらの芽、ふきのとうあたりのさわやかな苦みもさながら、ホタルイカカマスゴ(イカナゴの親魚)のはらわたのコクがある苦みも春ならではです。

 

冬は活動的になれない割に食べ物はおいしいものが多いので、食べ過ぎで疲れがちな胃には苦みが効いたものがおいしく感じるのかもしれません。子どもの頃に苦い食べ物のありがたみは感じられないのも、子どもは胃もたれと縁がないからという気もします。

 

【最寄りのグルメ】

昼食や軽い食事における、チェーン系うどん店の存在が当たり前になりました。

記憶を遡るかぎり、学生のころに「はなまるうどん」を利用したのが最初の体験です。大衆的なうどんチェーンといえば茹で置きの柔らかいうどんが当たり前だったのに、歯応えのある本格讃岐風のかけうどんが100円台で食べられるというのがショッキングでした。

 

最近は休日にショッピングモールに行けばたいてい「丸亀製麺」が入っていますし、ピークタイムは他の店より並んでいるのを見かけます。ここに初めて行った時は、揚げたてのさくさくでボリュームのある天ぷらがおいしくて衝撃でした。

丸亀製麺は一時期もっとも通ったうどんチェーンですが、週2ペースで2か月ほど通ったころから味に飽きてしまい、店先にただよう油とうどんつゆの匂いが受け付けられなくなりました。以来、足が遠のいています。

 

そんなこんなで今たどり着いたのは「つるまるうどん」です。大阪市内の繁華街ならわりとよく見かけるチェーンです。

ここは10年少し前くらいに初めて行ったとき、特にこれといった印象が残っていない、まあお腹が空いて急いでいる時にあれば入ってもいいかくらいの存在でした。

 

一時期関西を離れていたので、その後つるまるうどんに立ち寄るには随分と間が空きました。大阪で店を開くに至ったこの2、3年は気が付いたら週に一度くらいのペースで通っています。

 

たいして印象に残らないと思っていたのは、味の強さが「ほどほど」だったからだろうと思います。その当時は、もっとおいしいものが他にある!という気持ちが強かったので積極的に足を運ぶ気にならなかったのでしょうが、今では飽きることなく通える味にありがたみを感じています。ひと口食べて目が覚めるような強い味もたまにはいいのですが、これも年齢のせいでしょう。

 

じゃあ味が薄いほうが値打ちがあるのかというとこれも難しいところです。こないだとある芸人さんが、先輩のご馳走してくれる高級店の味を「目をつぶって食べないと味がしてこない」と表現しているエピソードを見て笑いましたが、誰しもにおいしく食べてもらう難しさを考えさせられました。

 

日本料理店の料理長ともなると、味を決める感覚を失わないために普段から辛いものや味の濃いものを口にしない人もいるそうです。そこまで行くとキリがなさそうで真似できそうにありません。