炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

変化を渋るは老いにあり

【近況】

コロナ感染が広がりはじめた1年前から今日まで、大きく変わる環境を受けたうえで改めて居酒屋をやり続けたいと確信した1年間だったと思います。

 

この間、自分の店を居酒屋から大きく変えていくべきではないかと考える機会が何度もありました。

その中で思ったのは、一口に食事を提供する仕事といっても、酒や食を通じて誰かと一緒に過ごす時間を楽しむ場を提供する業態と、選ぶ楽しみを通じて個々の空腹を満たす手段を提供する業態とは、続ける心構えが大きく違うということでした。

 

初めは、この状況下でなだらかに客足が安定していくと考えられるのは後者(ファストフード、定食屋、デリバリー、テイクアウト、通販etc)だと思ったので、そこのみにシフトしていくことも選択肢として思考していました。

しかし同じ食の世界といえど、それは自分にとって全く別の世界の仕事を始めるのと同じなのだという感覚に直面しました。仕事に見出す楽しみが違いすぎるからです。

 

それなら食の世界にこだわらず、別の世界の仕事にも目を向けたいし、例えばこれまで触れたこともない業界の勉強をして資格を取ったり就職を考えたり、食に携わるにしても今までの居酒屋料理とは切り離してゼロから製パンや製菓の勉強を始めるとか、テイクアウトを本気でやるなら弁当チェーンに就職するとか、そうあるべきだと感じたのでした。

現時点ではもし今の店の形を変えるくらいなら、そういう方向に視野を向けていくべきだと確信するに至っています。

 

今はまだまだ店の力を持て余している状態が続いているので、テイクアウトできるものを増やすとか、通販でも販売してみるとか、幸いプラットフォームが充実している昨今なので試していくとは思いますが、第一に店に足を運んでもらいたい熱を失わないようにしたい。そしてその店自体を、年々より進化させたい。

変な1年でしたが、そういう覚悟をするきっかけになったという点では、良い1年だったと思えなくもない気がしています。

 

【何でもない話】

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6902.htm

3月31日をもって、総額表示の義務付けに関する特例措置がおわります。

 

当店でも、表示価格を全て税込で〇〇0円に統一しましたので、急に釣り銭用端数の1円、5円がいらなくなってしまいました。

 

これまでは「税抜き価格」を目立たせておいて後ろに「+税」と書いたり、売場(飲食店ならメニュー)のどこかに「表示価格は税抜きです」と書いておけばよかったのですが、これからは「税込み価格」がいちばん目立つように表示しなければいけません。

 

消費税が始まった時から本来それが義務なのですが、売り場のポスターや看板、パッケージ、メニューブックを新しくするのはタダではありません。なのでそのために猶予期間を設けていたそうですが→消費税がまた上がる→また猶予期間を設ける、を繰り返してきてやっと今ということのようです。

 

すると見かけ上の値段が高くなって見えるので、飲食店のように、食べたいものをパッパッと決めてもらいたい店にとっては差し障りがあるという見方を自分自身もしていました。だいたい5%だったころまでの感覚の名残りです。

 

今や食料品やテイクアウトで8%、店内飲食は10%ですし、税抜き表示だけをみて注文すると支払いのときにあれ?と思うくらい高く感じることが増えました。それがわかっていたのに当店もついつい惰性で最近まで税抜き表示を行っていたものですから反省しています。

 

当店は見やすくしたかったので末尾0円に統一しましたが、コンビニなどでは所狭しとならぶ値札がぜんぶ端数ありの表記になる可能性もあるのでしょうか。

ぱっと見でどれが安いか見づらい(そろそろ年齢的にも)と思うので、スマホのカメラで撮影したら価格の順に色付けしてくれるアプリがあると助かるような気がします。