稼ぎも沈黙
【近況】
もう1ヶ月以上ランチ営業しかしていませんので、そろそろ夜出すメニューの作り方を忘れてしまいそうです。
夜と違ってランチだと、見知ったお客さんが来てくれてもなかなかゆっくり話しかける時間もありません。そんな具合なので、いつも来てくれるお客さんの様子を遠くから眺めることが少ない楽しみの一つです。
なかでも嬉しいのは、いつもは1人で来るお客さんが初めて他の人を連れてきてくれた時です。
1人で定期的に来てくれる方は大勢いらっしゃいますが、1人なので基本は皆さん無表情で過ごされることがほとんどです。すると時折、この方は当店のことをどう思ってくれてるだろうかと思うときがあったりします。
そんな方が、同僚や上司・部下とおぼしき人を連れてきてくださったり、皆で談笑されているのを見るとホッとします。
逆に、グループで来てくれたお客さんの中から、後日1人がふらっと食べに来てくれるのも嬉しいものです。
この一年振り返ると、コロナ禍を機に一度も顔を見なくなった方は少なくありませんが、最近ようやくその後から来てくださるようになった方が同じくらい増えてきてくれたように思います。
【キッチンの内情】
最近通販で始めた「鯛めしの素」が予想よりは少し人気のようで、鯛をさばいたりする仕込みと出荷作業でバタバタしています。また、周辺は休んでいる飲食店や施設が多いこともあって、ランチ営業も一時的に忙しくなる日が多く、去年にくらべるとやることの多い5月でした。
それでも去年の売り上げには若干及ばなかったので、自分自身の感覚も麻痺してきているような気がします。
今回から、弁当メインではなく、鯛めしの素やお茶漬けセットという家でひと手間加えて食べるもの、もしくは食事の脇役となるドレッシング等調味料類のテイクアウト販売を押し出しています。
鯛めしやお茶漬けに使う出汁にはいわゆる既製品の濃縮だしなどは使わず、削り節と昆布だけで作っていますし、調味料類も手作りならではの風味が味わえるよう工夫しています。
手作りの加工品は特徴や個性が好きなように出せる良さがありますが、その味が変わるのが早いためあまり長い賞味期限はつけられないというデメリットがあります。
比較的長い期限で味わえる市販品もありがたいのですが、期限が短いことで使う側に生まれるちょっとした緊張感が味の期待へのスパイスになるような気もしていて、デメリットもうまいこと売りに転じていけるようにできたらと感じています。