割らない度胸
【近況】
ところどころで忙しい瞬間もありましたが、概ね静かな1週間でした。
繁忙期の山が落ち着いて谷をむかえる時期は、毎回メニューを見直す機会にしています。前回メニューを作り直したときに熟考し納得して始めた価格とラインナップも、見直すタイミングになると、このメニュー何でこんな価格にしたんや、となることは必ずあります。
しかしながら、店を始めたころを思い出すと、我ながらだいぶ融通が利くようにはなってきたなと思います。当初はやはり、初めての自分の店ということもあって、不安とこだわりが先走り過ぎてデコボコといびつな手触りのメニューラインナップでした。
微妙に追加注文を悩む価格、味が想像しにくいメニュー名、シェアしにくい量など、それぞれにこだわる理由はあったのですが、考え過ぎてどんどんお客の視点がわからなくなっていたのが正直なところです。初めのころのお客様にとっては、使い勝手がよくわからん店だという印象があったことだと思います。
そんなこだわりも、お客様の反応や声や視線にさらされるうちに徐々に角が取れ、まだまだデコボコではありますが、ずいぶんとなめらかにはなってきたように思います。
しかしながら、このままただまんまると特徴のないメニューラインナップになってしまうのも面白くありません。これからも時間はかかるでしょうが、いい感じにゴツゴツした手ごたえのあるものにしていきたいと思います。
【ぽんたんのキッチン紹介 その5】
食器の話です。
開店するずっと前から、店をやるなら和のテイストで居酒屋料理というイメージだったので、オープンする1年ほど前から少しずつイメージに沿った食器を見つけては買うことにしていました。
かつては商品部だったこともあって、食器類の仕入れを担当することもあり、何度か社内で食器のプレゼンをしていたこともありました。おかげで業務用の食器カタログはわりと目を通すことが多く、陶磁器のおおまかな種類や大きさ、形のバリエーションの知識は若干通じることができました。
業務用食器というのは、壊れにくく、安価で、洗いやすく積み重ねしやすく、急な大量仕入れにも対応できるものが重宝されます。
ただ今回店を開くにあたっては、枚数もそんなにいらないし、壊れにくいに越したことはないものの、似たような食器だらけでも面白味に欠けるだろうというので、街場の食器屋さんを回ったり、産地を回って少しずついろんな種類を買うことにしました。
特に、リーズナブルでバラエティ豊かな食器を見て回れる岐阜県土岐市の産地周辺ではかなり収穫がありました。廃番になって店頭在庫だけの器などは、こういうところでないと見つかりません。
日本料理店や割烹などで使われるような、洗練された繊細な器には、料理の質的にも金額的にも全く手が出せませんが、時間があるときは食器探しのヒントになればと思い専門書などでじっくり写真をながめるようにしています。
ちなみに、お洒落な雑貨店などで食器類を買うときは、外の光か自宅の照明に近い明るさの光のもとで検討するのがよいようです。
光には色温度というものがあり、洒落た間接照明や薄暗い店内でディスプレイされた姿は魅力的に見えがちですが、帰って開けてみると思ってたのと印象が違うことがあるからです。
※当店に関するあらゆる疑問質問、料理作りのお困り事等、店頭でもウェブからでもお気軽にお問い合わせください!可能な限りお答えいたします。