炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

偉大なる繰り返し

【近況】

昨年に店を始めてから驚いたことの1つに、お客様の「食べ方のきれいさ」があります。

ランチから夜の営業を通じて、食べ終えた器を下げるときに、食べ方がきれいな方が多いことが印象に残ります。洗い物に食べ残しや食べこぼしが見当たることが少ないのです。


当初は、料理の量が少なすぎるのかもと心配になりもしたのですが、どうやらそうでもなさそうです。しかも、ランチならゆっくり食べる人だから食べ方もきれいなのかというとそうとも限らず、1人で来てさっと食べてすぐ席を立つ方でも、きれいに食べて帰る人は多くいます。


ていねいに食べ終えてもらえるのは作る側としては嬉しいものです。これは自分も見習わないといけないなと、意識して同じメニューを同じランチの器に盛り付けて食べてみたことがあります。すると、小鉢の中身やサラダの野菜の切り方など、料理の仕上がりによっては食べづらい日もあることに気づきました。



1人でも多くのお客様に来てもらいたいという思いは、店を開いているかぎり絶えません。そこへ、さらに欲をいえば、好ましい振る舞いをされる方に大切にされたい。そのためのヒントがあったように思います。

ふだん当たり前にくりかえしてきた振る舞いを変えると、身をもって納得のいく気づきが増えると実感した出来事でした。


【おすすめレシピ本 その2】

「イタリア料理の基本講座 定番料理をもっとみがこう/落合務柴田書店

店を出そうと決めて、料理の土台は和食と決めていました。その勉強を始める前に、一度時間の許すかぎり他のジャンルの勉強もしておきたいと考えたその時に、近くの図書館にこの本がありました。

サラダを作る、パスタを作る、トマト缶を使う、オリーブオイルを使う、などイタリア料理的なものに触れることは多いのに、ただ何となくで捉えていた手順を深掘りして考えることができた、忘れられない一冊です。

・よく作る基本のイタリア料理の手順が、手順の理由もふくめて詳しく説明されている
・塩、酢、油など調味料と、肉、野菜、魚など素材との相性の基本がわかるため、材料に合わせてアレンジを考える幅が広がる
・フライパン、オーブン等の加熱との向き合い方を理解できる。加熱における強弱やタイミング、時間のかけ方のバリエーションが増える

自分にとっては特に、「パスタとソースの味の絡め方」についてはこの本がなければずっと間違えたままだったと思います。
基本のイタリア料理を学ぶ本なので、いま当店のメニューに直接生かされている部分はほとんどありませんが、素材の個性にあった調理法を知るという点では幅が広がったと感じています。

この当時を振り返ると、それまでなまじ独学で料理に触れる機会があったために、包丁や火の使い方、素材の組み合わせ、味の方向性などがワンパターンになってしまい、限界を感じていました。
そういった弱みと向き合うためにたどり着いたのが、「ひたすらレシピを書き写す」。この本も含め、週に一冊くらいのペースで料理本を借りてきては、写経のごとくレシピを書き写していました。ガチガチに固まっていた少ない知識がほぐれて、視界がひろがったような感覚を今も覚えています。

※当店に関するあらゆる疑問質問、料理作りのお困り事等、店頭でもウェブからでもお気軽にお問い合わせください!可能な限りお答えいたします。