マスクの下と気遣いと
【近況】
ほんの半年前まで想像もしてなかったことですが、厨房の中でマスクをつけたまま調理することが当たり前になりました。正直、なかなかまだ慣れないというのが本音です。
暑い、息苦しいというのはまだやむ無しと思えるのですが、味見がしづらいのと、ふとした匂いを感じ取りにくくなるのはつらいところがあります。とくに匂いについては、食材の状態をたしかめたり、調理過程で状況を判断するのに、目で見る情報にくわえて鼻からの情報も併せて行っていたのだと痛感しています。
匂いといえば昔、店内の状態をチェックするときに、空気の流れがきちんと動いているかを感じ取れと強く教えられました。
大きめのビルにある店舗だとキッチンとホールそれぞれに吸気と排気が働いて店内の空気を循環させるのですが、たまにスタッフがどれかのスイッチを入れ忘れていたりします。
洗い場、キッチンの床、排水口と溝、複数のトイレなど飲食店は事務所と違って水回りが多くあり、どうしてもこの水場の近くは匂いがこもりがちです(仕込みで1番乗りに店へ入るとよくわかります)。吸排気を点けわすれた店内は、これらの湿気や匂いを帯びた空気が流れなくなってしまいます。
といってもほとんどのお客さんがそれに気付くというわけではありません。しかし、無意識の蓄積がその店の居心地の印象になるので、大いに注意すべきポイントとして意識するようにと言われたのでした。
印象といえば、マスクがあることで、新しいお客さんに自分の顔を知ってもらえないのもさみしいところがあります。もうすでに、気の利いた現場では顔写真を胸につけて接客しているところも出てきているのでしょうか。
【ぽんたんのレシピ紹介】
スーパーにも季節のいちじくが並んでいます。いちじくを確実においしく食べられるレシピです。
いちじくの胡麻クリームがけ
・ねりごま 大さじ4
・白味噌 小さじ1
・砂糖 小さじ1
・煮切りみりん 小さじ2
・薄口醤油 小さじ2
・水 適宜
・ゆず
①いちじくは皮を剥いて4等分にカットする
②水を除く調味料類をボウルに合わせてよく混ぜる
※すり鉢で擦り合わせるとよりなめらかになります
③クリーム状になるように、水を少しずつ入れて調整し、出来上がった胡麻クリームをいちじくにかける。仕上げにゆずの皮を擦ったものをふりかける
香ばしい胡麻の香りとねっとりした食感が、いちじくの柔らかくプチプチした果肉ととてもよく合います。
あまり目立たないいちじくならではのやさしい香りと甘みが、味噌の香りとコクでより際立つのが印象的でした。
最初の前菜としても、日本酒の肴にも、デザート感覚でも楽しめる味でこの季節に大変おすすめです。