炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

思い出の泡だち

【近況】

以前、仕事で魔法瓶・炊飯ジャー系の有名メーカー数社と懇意にしていたというお客さんがいらっしゃいました。

電気炊飯器は高級機種ほど人気が高く、一台10万円を超えるものも予約してなお数ヶ月待ちという人気なのだそうです。

そのような機種ともなると、よっぽどおいしいご飯が炊けることだと思いますが、メーカーの担当者各位は口をそろえて「ガス火で炊いた味にはかなわない」と言うのだそうです。

 

ざっくりいうとガスの直火と違って、電気式はじわじわと熱を加える仕組みになるため、そこの差が大きいのだと思います。土鍋で炊くときも意識するのですが、最初の加熱で勢いよく沸騰すればするほど、炊き上がりはつやのあるおいしいご飯になります。

 

ただ最近はオール電化の家庭が増えていることや、ガス炊飯器はガス栓や換気が必要だったりと置き場所の制約があります。安全面と手軽さでは電子炊飯器に敵わないところが大きいようで、一般家庭では9割が電気炊飯器ということです。

 

そんな中、「電気式の土鍋炊飯器」があるというのを知りました。

 

土鍋は一度高温に達すると、熱が逃げにくく強い加熱がつづくので、電気式でもかなりいい条件でご飯が炊けるのではないかと睨んでいます。電気式の良いところは直火が必須の土鍋がコンロを占領しないので、他の調理の邪魔になりません。

 

しかも、最近まで代表的な製品が一台4〜5万円ほどだったのですが、先日ドンキホーテが自社ブランドで1万円台の電気式土鍋炊飯器を発表しました。

https://www.donki.com/j-kakaku/product/detail.php?item=3158

 

買ってみてイマイチだと大きさ的にかなり邪魔になりそうなので、お米を持っていって店頭で実際に炊かせてもらえたりしないだろうかと勝手なことを思っています。

 

【記憶に残った店の味】

先週ごろから朝晩ぐっと冷え込んでいます。

この寒さの中で熱々のラーメンを食べたらおいしいんじゃないかと思って、外でラーメンが食べられる店を探すことにしました。

真っ先に思いついたのが、難波駅近く御堂筋沿いにある金龍ラーメンです。さっそく足をはこび、寒空の下で厳しい風をあびながら注文です。懐かしいシンプルな味わいです。凍えながら出来上がりを待っている時間も含めて実に絶品でした。

 

ここの金龍ラーメンは、自分が中学生〜高校生になりたてくらいのころに食べたのが初めてだったと思います。当時は、地元の奈良では食べられない、大阪の絶品ラーメンだと思っていたラーメンです。

そのころ、地元から買い物で大阪に出かけるというのは一大イベントで、大阪へ出るといえばそれは難波に降り立つということでした。

友達どうし誘い合って出かけるのですが、その中に大阪に詳しい奴というのがいるもので、金龍ラーメンもそんな友人が教えてくれたものです。

 

ラーメンといえば醤油か味噌ラーメンが普通だった当時の自分にとって、豚骨ベースの醤油ラーメンというパンチの効いた強い味わいと、卓上のキムチ食べ放題はほかならぬ衝撃でした。

そして何より、賑やかな大通り沿いの歩道にはみ出るように立ち食いでラーメンを食べるという行為そのものに、都会に来た!という実感があったのを覚えています。

難波に降り立ったらまず金龍ラーメンでお腹を満たし、上がったテンションでアメリカ村や心斎橋へ買い物に向かうというのがお決まりの流れでした。

 

しばらく通うと飽きてしまうもので、そのうち味を忘れた頃にたまに立ち寄るくらいになってしまいました。しかし、思い返せば20年も前によく通った店が変わらず今も残っていること自体そうそうある話ではなく、今ではそういう懐かしさの味付けも加わった時間を楽しんでいます。