炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

今日も口から幸せを

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【近況】

この1週間は空き時間で「イカと新れんこんの土鍋ごはん」を試作していました。久しぶりの土鍋ごはんレシピの試作です。

 

イカスルメイカなどの名前で一般によく売られているイカの生を使います。

生のままのイカは骨と内臓や墨袋を外し、茶色の内臓(ワタ)の部分を取り出してこれをバターで炒めたものを炊き込む出汁に使うので濃厚な仕上がりになります。

 

適宜に切ったイカの身やゲソを合わせて炊き込むのですが、旨みが豊富なイカだけに味は間違いありません。しかし歯ごたえの印象が乏しいので、今が季節のシャキシャキした新れんこんを加えます。

 

さらに旨みだけで飽きないように、香りや締まりの要素を考えます。海のものと相性がよいもの、イカ焼きに欠かせないもの、などと考えを展開させてみて、しょうが・海苔・レモンをそれぞれの風味が生かせるタイミングで加えていきます。この辺りは正解がなかなか決まらないので、実際店で出しながら調整していたりします。

 

他にもいろいろ加えるとおいしい食材はあるのですが(玉ねぎにんにくなどの香味野菜、香辛料、味噌などの発酵食品など)、あまり足しすぎないことを意識します。

不思議なことに味を足せば足していくほど、なぜか買ってきた既製品のような出来すぎた味になっていったりするものです。この足し引きの加減がむずかしく面白いところです。市販品の開発というのは誰が作ってもおいしくなるように、本当に時間をかけて作り込まれているのだと実感します。

 

自分が考えるメニューの理想は、2、3個の食材のシンプルな組み合わせにうなるようなセンスが光るメニューです。外で食事をしてそういった出会いに遭遇すると嬉しいものです。

 

それが理想ではありますが、自分がものにできる時はそうそうありません。

セオリー通りに相性を理解していって、実際に食べて、発展の糸口がないかを考える。試行錯誤の末にたどり着くしかありませんが、決まったと思える瞬間の嬉しさは格別なものがあります。