炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

高まれる集まり

【近況】

最後に団体客のご利用があってから、ちょうど半年が経ちました。そのときは正直同じ状況がここまで長引くとも思っていなかったというか、長引いてほしくないなといった感情だったと思います。そうこうしているうちにあっという間に半年が過ぎました。この期間は、当初は頭になかった今後の選択肢を地道に整理していく半年だったように思います。

 

これまでを振り返れば、小さい店なりに色んな団体客の方々に利用してもらいました。主に企業の懇親会がほとんどですが、側から見ていてうらやましいくらい全員の仲の良さが伝わる方々もおられますし、はたまた飲み会ながらもお互いの発言に厳しく食いつき合うような少し緊張感のただよう雰囲気の方々もおられたりして、会社やチームの文化、風土が伝わってくるのを感じたものでした。

 

仕事の延長における食事や酒の場は、その強制性や古い慣習などとかく批判にさらされがちですが、そもそもはチームの方向性、温度感を日常から離れた空間でメンバーに伝えたいからこそ始まったはずで、それに役立ってきたからこそ続いてきたものだと思います。

オフィスでは出せない大きさの声で、感情を込めて、少しくらい言葉の選び方はおかしくても、目の前で生の声をやりとりをする。それまで知っているつもりだった相手の人となりに深みが出るという経験が、自分自身は多くありました。

 

いまはコロナ禍を機に、すでに形骸化していた仕組みがどんどん淘汰されていると思います。会社によっては、形だけ続いてきたような飲み会ならもう二度と復活しないものもきっとあるでしょう。逆に、代えのきかない大事な飲み会もきっとあるはずで、そういった場に選んでもらえるようでありたいと考える次第です。

 

【嬉しかった頂きもの】

まつのはこんぶ/花錦戸

 

その名のとおり、松の葉のように細く切って炊かれた塩昆布です。

学生の頃までたまに実家でもらっている時があって、そのときはえらく味の濃い昆布だと思って(そもそも塩昆布もあまり好きではない)敬遠していたのですが、のちのち大人になってから再会しました。そうしたらあまりのおいしさに絶句したのを覚えています。

塩昆布なのでもちろんご飯のお供によいのですが、なにもここまでおいしくしなくても、と思うほど旨みが非常に濃い逸品です。

すっぽんのダシで炊くそうですが、そもそもすっぽんなどひんぱんに口にしたことがありませんし、何度かこんな味をどうやったら出せるか考えたことがありますが、自分の引き出しにはまったく思い当たる材料がなく未だ全く手が出せないという悔しさを感じています。魚介系とも肉系ともつかない複雑で品のある味わいです。

 

量を考えるとなかなかに高価なものなので自分ではまず買いませんが、そのうち店の土鍋で炊いた白いごはんとも合わせてみたいと思っています。