炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

季節がつなぐ縁

【近況】

秋はでんぷん質が恋しい季節です。

里芋、かぼちゃ、さつまいも、栗など、ホクホクした口当たりの食材が市場にも数多く並んでいます。夏の盛りには見ただけで喉が詰まりそうな気がしたものですが、少し寒さを感じ始めると途端にその粉っぽい味わいに温かさを感じるので不思議なものです。

 

暑い夏は野菜の食物繊維と水がおいしい季節でした。前者は歯ごたえを作り、後者は体を潤してくれます。きゅうり、トマト、ししとう、オクラなどには随分今年も世話になりました。きちんと季節に応じて体が求める野菜が出回るようになっていて、改めてありがたく思います。

 

ここ最近のような過ごしやすい季節になると、コアタイムだけではありますがランチは賑やかさが増します。夏→冬の9.10月、冬→梅雨までの4.5月といったところです。

お客さんに聞くと、出歩くのに良い気候になるとランチに少し遠くまで歩いてみようという気がするそうです。

 

去年までと違い、席を間引いたり相席を避けて案内するので満席になるのが早く、せっかく増えたお客さんを心苦しくも結構な組数で断る日もあります。今の気候のときをねらって周辺まで出てきてくれる方も多いと思うので、どうにか1組でも入ってもらえるようにとは思って日々動き回っています。

 

【食のニュースを読んで】

輸入されたプロテインバーに生きた虫が混入していたというニュースが先日ありました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b9a135ce3b8e56c8275173dd02a0dcb0c1d44ebb

 

これに対する反応に、生きた虫が入っているのがありえない、さらに「健康には害はない」と述べたメーカーの返答がありえないというものを見かけて興味を持池ました。

 

以前会社にいたころ、イタリアからの輸入食材に携わっていたことがあります。輸入が許可されて港の倉庫に到着した食材の検品に2年くらい同行させてもらっていました。

その時に件のプロテインバーと同様に、乾燥パスタに生きた虫が混入しているところも見たことがあります。

 

密閉されているはずの袋の中という疑問がありましたが、おそらくは原料になる小麦粉に虫が卵を産みつけていて、パスタに加工する作業でもそれらが残ってしまい、それが輸送中にかえったという見解でした。ニュースを見たとき、たぶんこれも同じではないかと思いました。

 

イタリア現地でも同じことが起こってないのかなとも思いましたが、日本ほど高温多湿ではなさそう(イメージですが)なので、卵もかえらないのかもしれません。

また、消費者からのクレームの質が日本とイタリアとではかなり違いがあるという話も聞いて納得した覚えがあります。日本にくらべると、何か異物が入っていても取り除けばいいだろうという気質のようです。国こそ違いますが、そう考えると健康被害につながる混入か否かの返答までに留まったメーカーの対応もわかる気がします。

 

品質管理の力というのは、長い間に色んな事故や問題を消費者が経験してきた結果養われるものだと感じました。とくに日本は気候風土に国民性なども強く反映されて高いレベルに達したのだと思います。

文化におけるその違いを擦り合わせようとせずに短絡的な拒否反応をくりかえしていると、いずれ消費者にいろんな意味で払いきれないコストとなってはね返ってくるような気がします。