炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

きっかけの卵

【近況】

現在の当店の夜営業メニューですが、約25から30種類くらいが並んでいます。ただその多くは1人前か2人前注文されると売り切れるくらいの数しか用意していなかったりします。

 

6月も半分が過ぎて、体感的にはようやく半分ほどのお客さんが戻ってきました。最初はメニューを絞ってムダが出ないようにと10種類+αくらいの少ないメニュー数で夜の営業を再開したのですが、毎朝の仕入れに行ったり本を読んだりしているとどうしても気になる季節の食材やレシピが出てきます。

そこでついつい、そこまで売れる気配がなくても買ってしまう食材が増えていき、結果メニューが増えてしまいました。しかし売れ残るのがこわくて少しずつしか仕入れないので、すぐ売り切れるというわけです。

 

売れないともったいないので、つい低めの価格にしてしまったり、つい盛りが多くなったりします。あんまり弱気なのもいかがなものかと思いつつ、今までと違うお客さんの反応があったりして面白さもあります。価格があるラインを下回ると途端に注文が増えるもの、量が多いとやけに喜んでもらえるもの、安くても別に喜ばれないもの、値段を気にせず注文してもらえるもの、等々、試してみないとわからないものです。

 

売れることを見込んでまとめて仕込むことで手間を省くのが当たり前でしたが、バラバラといろいろ仕込むので忙しさはあまり変わりません。さらにこれまではちょっと敬遠していた、手間をかけておいしくするようなことも、今なら時間をかけてやってたりします。

 

こんなことをしているのは何も当店だけに限らない気がしていて、このタイミングだからこそ楽しめる外食の面白さが町のあちらこちらにあるのではないかと思うこの頃です。

 

【最寄りのグルメ】

サンドイッチを扱っている店ならコンビニでもスーパーでもどこでも必ず扱うであろうサンドイッチの定番中の定番「たまごサンド」のお気に入りです。

メーカーはシノブフーズ、「epi mou」というブランド名で展開されている、「こだわりたまごサンド」というのが、自分が考えるこれまでで最高のたまごサンドです。

 

出会いは、毎朝仕入れに向かう鶴橋駅周辺にあるスーパーでした。仕入れのついでに朝ごはんがわりのパンを買ったりすることはちょくちょくあります。

初めは特になんの期待もせず、たまごサンドでも食べようと思って買ったのがきっかけでした。

 

持って帰って何気なくそれを食べた時、パンの柔らかさと香りと口溶けのよさ、具のたまごサラダのしっとり感とボリューム、風味の豊かさに驚きました。こんなたまごサンドは、自分で作ろうとでもしない限り食べられないと思いました。

コンビニのたまごサンドはどれもあまり好きではなく、いつもどこか何かが物足りないとずっと思っていました。

たまごサンドはみんなが好きなものなのに、なぜこの程度の品質で良しとしてしまうのだろうと憤りすら感じていたほどだったので、いっそう感動したのでした。

 

それからというもの、たまごサンドを買うならスーパーで必ずシノブフーズのものを買っていました。多い時は週2回ほど食べていたと思います。シノブフーズはコンビニ向け製品の展開もあるはずですが、それらとは一線を画す、気合とこだわりの詰まったサンドイッチだと思います。

 

そんな時期も楽しんで久しい今日この頃、ちょっとした不安があります。

気がつけば、こだわりたまごサンドはあんまり店頭に並ばなくなってきたのです。

 

このブログを書こうと思って何気なく思い出したら最後に食べたのは相当前でした。さきほど公式情報を調べてみると、ラインナップにこだわりたまごサンドがどうも見当たりません。

 

たまごだけのサンドイッチにはあまり需要がなかったのか。あの品質を保つにはコストが見合わなかったのか。売れすぎて製造が追いつかないほどで休止したのか。真相はわかりません。

もし、どこかであのこだわりたまごサンドを見かけたら誰か教えてほしいと思う次第です。