自由と自粛の不自由な関係
【近況】
いつもより早く片付いてさあ帰ろうというときに、これまでだと一人で軽く飲んで帰ろうかみたいな気持ちもありましたが、いよいよそういう気持ちにもならなくなってきました。
自分自身がそんな心境なのにお客さんにはうちの店には来てくださいというのも変な話なので、この一週間はテイクアウトメニューの準備や、短い滞在時間で食事してもらうことの打ち出しについて考える日々でした。周囲の状況によっては営業そのものが立ち行かなくなる可能性もあるとはいえ、もじもじした感情のままじっとするのも辛いので頭だけでも動かしています。
毎日いろいろなアイデアが頭に浮かんでは消えていき、一度あきらめたアイデアがまた浮上したりと客足とは反対に頭の中はせわしないものです。2年前に店を始める準備をしていたころを思い出しました。
毎日、オープン日を待つ我が店のメニューや店内をどうするかということをずっと考えていたときが、ちょうどこんな感じでした。一週間のあいだにコロコロとめざす方向性が変わっていきます。不安だけでなく期待にも頭が揉まれています。
個人事業主としての今の立場で受けられる臨時の融資や支援の手段についても色々調べました。いざというときに頼れるものがあると心の隅に留めておけるのはこの先を考えるうえでも大事なことだと痛感しました。
あとは徳利に日本酒を入れたりボトルワインをテイクアウト料理と一緒に販売できたりするとさらにありがたいのですが、許認可の関係でお酒のテイクアウト販売はできません。
緊急事態を乗り越えて収束にむかうことになっても、厳しい時期は長らく続くと思われます。期間限定で酒類販売の許可を飲食店が取得しやすくしてもらえるとよりありがたいし、お客さんにも新しい楽しみ方が増えていいと思います。
【🍅外食できなくても、食べる楽しみを🍱】 毎日のごはん作りを手伝います!... - 炊い処 ぽんたん(たいとこ ぽんたん) | Facebook
外食する機会が減った人が多いと思い、↑このような発信をしてみました。
作って食べてもらう機会が減ったままではつまらないので、なにか食事を楽しむための手助けになればと思った次第です。
些細なことでもなんでもかまいませんので、料理のこと、お店のこと、気になることは何でも聞いてください。
【何でもない話 その1】
この仕事をしているとお客さんから「マスター」と呼びかけられることがしばしばあります。
今はもうずいぶん慣れましたが、会社員だったころは「マスター」という単語と縁がなかったですし自分自身も誰かのことをマスターと呼ぶことなどなかったので、最初は「いや、きょうびマスターて!」と思ったものです。
死語に近いと思ってましたが全然今も使われる言葉だと実感しました。だいたい40代〜50代以上のお客さんに多く見られます。
また仕入れに行くと店の方から「大将」と呼びかけられることもあります。かなり自然な距離感で使われるのですが、これもなかなか馴染みのない呼ばれ方です。どうもお寿司と縁の深い魚系の商売の方はお客さんを「大将」と呼ぶことが多いようです。
近所にある飲食店の、御歳70を数える男性オーナーさんが時折ランチを食べに来てくださいます(この方にもマスターと呼ばれています)。
一度外でその方を見かけたので声をかけようとして、ふと何と声をかけたものかと一瞬迷ったのちとっさに「ご主人!」と呼びかけたのでした。
なかなか他人をご主人と呼び止めることはないというか人生で初めてのことで、どうしてとっさに思いついたのがそれだったものかなど変な恥ずかしさに包まれたことをくっきり覚えています。
言葉や環境の力は人柄をゆっくり変える力があると信じているところがあります。純喫茶のマスターも始めからマスターだったわけではなく、周りからマスターと呼ばれながらお店に立っているうちに徐々に口ひげを蓄えたりオールバックにするなどしてマスターらしい風貌になったのではないでしょうか。
ちなみに車・バイク関係の仕事を生業にしている我が弟は、20代の一時期パンチパーマでした。