秘してなお健やかに

【近況】

この2、3年顕著にみかける機会が増えたのがモバイルオーダー（QRオーダー）システムです。

スマホで店舗が掲示するQRコードを読み込むと、店員を呼ばなくてもスマホから注文を送ることができます。

非接触という安心感の演出や、人件費削減につながる期待ということで注目されていますが、そんな小手先の役割だけでは飲み屋の魅力は目減りして、ゆくゆく助けにはならない気がします。ただでさえ値上げ傾向を抑えられない現状で、飲み屋は来年からどんどん減っていくだろうと思われます。

そういった技術は実はもっと踏み込んだところで飲み屋を助ける技術になりえるのでは、と想像してみました。

例えば注文総額のリミットを設定しておけば通知が来るとか、予約時間の入れ替え前には退店を促す通知がこまめに届くとか、すでにあるかもしれませんが、あるとありがたい気がします。

週末になるとあちこちで駅や道路を汚している泥酔者がいますが、年末の飲み屋も同じことで最も厄介な代物です。飲み過ぎを防ぐために注文ごとの総アルコール量を通知してくれると、店側にとっても、客側にとってもいいかもしれません。

加えて栄養計算や食事バランス管理、アレルギー成分など、メーカーの出荷から情報が紐付けられていて、加工された情報もその都度追加され、店でオーダーするアプリはもちろん決済アプリで支払うところまで連携して各自の食生活がすべてトレースできるみたいなところまで想像してみたりします。

ここまで思いつきで書き出してみて、これらを管理されて取るような食事は何も楽しみがないなと気付きました。食事の楽しみは可視化できないからこそ魅力に満ちています。

そもそも健康を損ねるほど飲み食いしてしまう人は、その時点でなにかのストレスで身体以外が不健康な毎日を送っているような気がします。あまねくすべての人々がそんなストレスをうまくかわせる社会になれば誰しも自ずと健康に過ごせるのかもしれません。