炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

抜けも後味

 

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【近況】

豊中の店が稼働して1年ということは、自分自身がカウンターのある店に立っての接客を始めてからも1年ということになります。

就職して以来、アルバイトならそのさらに前から、飲食店の仕事でやってきましたが、昨年まで実はカウンターで仕事をしたことがありません。40歳を過ぎて初めての経験でした。

 

初めてといえどこれまでの延長ですからそれなりにはやりますが、やはり奥まったキッチンでの仕事しかして来なかった人間としてはカウンター席はまだまだ緊張と反省の連続です。特に接客については先輩のような存在もいなかったので、まさに手探りです。

 

そんな中で勉強させてもらっている人が2人、1人めは店舗ご近所のワインバーのオーナー、2人めはオープンまもなくから通っていただいている美容師のお客さんです。

 

そのワインバーへは、この1年でお邪魔した回数は5回にも満たないほどではありますが、ソムリエとして気取りなく振る舞いお酒の特徴をもれなく提供しつつ、客1人1人にあった話のきっかけで個性の違う会話をひきだす様子は実に惚れ惚れします。

気分良く自分の話をしているときは、この人話が合うなーなどと感じて気づかないもので、のちのちそのオーナーと他のお客との会話を横で見ていると、酒の魅力を伝える手数が多くあるのとおなじように、自然と相手に合わせられる話題の引き出しを多く持っておられることがわかります。

 

美容室のオーナーをされている後者のお客さんは、どんな切り口からでも力強く話を広げていく姿が印象的で、こちらもいつも勉強になっています。

接客側のこちらが合わせきれない話題だったとしても、その方に身を任せていればひとしきり話題が山を迎えて、最後に締められていくという体験を何度もしています。自分の場合は、一言二言で話の広がりが見えづらかったり、スポーツなどの詳しくない話題だとどうしても逃げてしまいます。

 

誰かが長い時間をかけて身につけたものに触れることほど視野が広がることはありません。こちらが一朝一夕に身につけられるものではありませんが、気長に学んでいきたいと思います。