安心の表と裏と
【近況】
店にいると一日を通していろんな匂いが店内に流れてきます。
いちばん多いのは他所の店が仕込んでいるものの匂いです。カレーのスパイスだったり、火にかけたニンニクだったり、薫製のチップの煙だったりします。
石油ストーブの匂いもよく漂ってきます。
どうやら隣のビルで使っているらしく、今くらいの時期になってくると夕方ごろから頻繁にストーブの匂いが漂ってきます。実家も石油ストーブを使うことが多かったので、懐かしさをおぼえる時間でもあります。
最近は、店のトイレに茶香炉を置いてお茶の葉をあたためて匂いを出しています。芳香剤やアロマオイル、お香にくらべると匂いがやさしいので落ち着く印象です。
ほぼ毎朝、仕入れで鶴橋駅周辺を歩きます。夜になると焼肉の匂いが駅全体にただようと言われていますが、朝の匂いは独特です。
もっとも強く感じるのは豚肉を茹でる匂いで、おそらく韓国食材を扱う肉屋さんが豚のバラ肉や豚足などを朝からずっと炊いているからだと思います。
ほかには魚や野菜、乾物などのいろんな匂いが混ざっていて、およそ都会の中心では感じられないような生々しい空気です。
一言でいえば、微妙に臭い、といった印象なのですが、自分はなぜかこの空気に触れると落ち着きを感じます。匂いをとおして生き物として一つの空気に溶け込んでいくような安心感があるのかもしれません。
【最寄りのグルメ】
以前に、スーパーで買えるサンドイッチの1番好きなものについて触れました。
いまなにかと話題のコンビニサンドイッチですが、こちらの自分にとって1番はやはりデイリーヤマザキになると思っています。
コンビニそのもので好きな存在もまたデイリーヤマザキなのですが、サンドイッチに限らず、価格に対する量と味のちょうど良さがものすごく安定しています。具がたっぷり、でもないけれど、あからさまな見掛け倒し、ということもまずありません。
繰り返し食べ続けたくなるラインナップだと思います。
山崎製パンといえば、何かと添加物使用を指摘する声が多いようで、ネットではしばしば「山パンだけは絶対買わない」といった発言を見かけます。
そういった声が高まってもながらく沈黙を守っていた山崎製パンが、過去につぎのようなリリースを発表していて興味深く読み込んだおぼえがあります。
https://www.yamazakipan.co.jp/oshirase/0326.html
自分はこの姿勢が、昨今の過度な「安心・安全」アピールに対する一つの信頼できる向き合い方だと感じています。
あと、例のセブンイレブンが販売しているサンドイッチの中身の問題ですが、業態はまったく違うもののメニュー開発に携わったことがある人間としては身につまされる話でした。
チェーンにおける既存の成績があるメニューが、前回よりも味、見た目、利益のすべてを上回るようにと求められつづけることはよくあることだと思います。
そんな中で(勝手な想像ですが)、例のサンドイッチの開発現場でもやはりそういう高い要求の壁があって、なおかつ各工場のオペレーションや材料の調達、キャンペーンの折り込み方もろもろの調整をして、結果として例の具の挟み方が採用されたのだと思います。
本当に大変な仕事ですし、そこを乗り越えていくのが誇らしいことでもあるのですが、これが毎年毎年つづくといったいどこにたどり着くのだろうかと思ったことがあります。
コロナ問題を抜きにしても、去年から今年にかけては特に増税やらキャッシュレス推進やらレジ袋有料化やらで多くのオペレーションやコストの負担が生まれました。そのしわ寄せが消費者にやってきた結果では無いと願いたいところです。