炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

ものは備えよう

【近況】

この冬は窓を開けて換気する店が増えるかと思いますので、熱めのお酒がより楽しめるかもしれません。今年の夏もなかなかでしたが、この冬の電気代が今から心配です。

 

熱めのお酒といえば熱燗、お湯割りです。当然、体が温まるという良さもあるのですが、特に焼酎のようにアルコールの刺激が強めのお酒は、お湯で割ってしばらくすれば口当たりが柔らかくなって飲みやすく、またお酒の風味がよくわかります。普段飲まない人にもおすすめです。

 

学生時代、芋焼酎ばかりを飲んでいた時期がありました。とくに芋焼酎はほかの焼酎にくらべて口当たりに甘みがあり、焼酎ブームで親しみやすい味の銘柄が増えたおかげか、初心者でもいろいろな銘柄を味わえていい時期を楽しめたと思います。

 

焼酎を飲み慣れない人が一歩踏み出すコツとしては、やはり発祥の地である九州にルーツがある料理とあわせるのがいいと思います。さつま揚げ、辛子明太子、焼き鳥、もつ鍋等々。上品で繊細な料理より、塩気や旨みや香りがすこし荒っぽい料理のほうが焼酎のおいしさが際立つ気がします。

 

【食のニュースを読んで】

食品ロス削減を訴える取り組みを目にすることが増えてきたように思います。まだ食べられるのに捨てられる食品を食品ロスとするそうです。

https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kankyoi/200414.html

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/efforts/

 

店をやる側としては、売り切れる分だけ作る、食べ残されないようにまずいものを作らないというのは心がけたいところです。

 

当店ほどの規模の現場ならほとんどないと思いますが、経験上残飯がよく出るときというのはだいたい忘年会的な団体利用のときです。

大勢で集まってコミュニケーションすることが目的なので仕方ないことかもしれませんし、遅れてくる予定が結局来れないという事情もあります。手付かずの皿が下がってくることもままあり、作る側としては心を無にして捨ててたりします。忘年会がぐっと減るであろう今年以降は、大きく変わるといいなとは思います。

 

あと、人生で1番多く食べられるものを捨てていたと思うのは商品開発をしていたときです。おびただしい量のサンプルを取り寄せて試食しての繰り返しで、食材にたいして試食する人間が少ないのでおのずと処分する量が多くなります。また、業務用食材のほとんどは容量が大きいということもあります。

もちろん、ほとんどの使える食材は近隣の系列店でまかないに使ってもらったりもしますが、ふだん使い慣れない食材が届いても困るといった現場の事情もあり、使い道がつかないサンプルの問題は常にありました。とはいえ捨てる食材を気にして商品開発のスピードを落とすわけにもいかず、もう少し自分でなんとか工夫する知恵と経験があったらよかったのにと思い出すたび心苦しい思い出です。

 

廃棄といえば、スーパー等にならぶ加工食品、飲料、お菓子等の流通には3分の1ルールというのがあると知ったときは驚きでした。

https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kankyoi/190412.html

 

↑大手小売業を中心に改善がすすんでいるようですが、これはかりに設定された賞味期限が製造から120日だとした場合、期限が最低80日残っていないとメーカーから卸に出荷できず、最低40日残っていないと卸→小売店に出荷できないという、メーカー・卸・小売店お互いで賞味期限のリスクを持ち合うルールです。なので、一般の目にみえないだけで出荷しきれずにメーカーや卸に残ったまま廃棄されるものもそれなりにあるということになります。

 

自分の立場から偉そうに申し上げると、料理をおぼえるよりも次々流行の味を求めたり手間を省こうとしたりするから、世の中に使い切れないほどの加工食品が出回るのだと言いたいところですが、昔よりも食の楽しみが豊かになって家事の負担が減ったことは確かなわけで、悩ましく思う問題です。