いま看板を灯すには
【近況】
諸々の制約つきで、夜の営業が再開しました。さすがの金曜日は若干賑わいもありましたが、なにぶん20時で閉店ですからまだ話し足りない様子で店を後にされるお客さんを見るのは毎回忍びないところです。
同じ通りにある店でも、今回以降は時短要請と距離をおいて通常営業に踏み切るところも出てきていますが、むしろ当然の流れだと感じます。
これまでは大人しく従ってきた事業者が覚悟と信念をもって再開を選択する、その判断を説き伏せるだけの根拠と熱量をそなえたメッセージが行政側から届いているという感覚は今のところありません。
むしろ店と常連客との関係性によっては、よりその結びつきを強くするきっかけになることさえあると思います。
考えあぐねることの多い毎日ですが、これからの店を変化させていくイメージも日に日に固まってきています。日々の営業もしっかり受け止めつつ行動を始めていきたいと思います。
【キッチンの内情】
枝豆が手に入る時期になりました。生の枝豆は今ごろの時期から夏の終わり頃まで続き、そのあと丹波黒枝豆などに変わっていきます。毎年最初に食べる枝豆の味は格別です。
冷凍の枝豆もじゅうぶんおいしいですが、硬めに茹でたものも、柔らかめに茹でたものもそれぞれに味わいがあって楽しめるのが生の枝豆のいいところでしょう。
産地によって風味の違いがけっこう顕著なので、食べ比べの楽しみがあります。
「茶豆」と呼ばれるタイプは香りに特徴があって、とうもろこしのような香ばしさがあります。店で主に使うのは大阪・八尾産の枝豆で品種としては「白毛豆」というもので、一般に枝豆でイメージするとおりの緑色です。
毎年いろんな産地のものを試してみて、いつも八尾の枝豆は甘くて香りもよく一番好みだと思っていました。どうやら、枝豆は採れてから2日で糖分とアミノ酸が半分失われてしまうらしく、大阪市と近い八尾市の枝豆がおいしく感じられるのは道理のようです。採れてから日が浅いもの、産地が近いものを探すのがよさそうです。
茹でたてがおいしい枝豆ですが、茹で置きしておくなら塩水に漬けておくのもおすすめです。濃度3%(200ccの水に塩小さじ2杯)を目安に、茹でてすぐの枝豆を漬けて冷やして保管します。4、5日はおいしく食べられると思います。