炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

何年先に何処にいる

f:id:tomofumi1981:20210815091323j:image

【近況】

9月以降の宣言延長の心構えをしておく必要がありそうな今日この頃です。心構えといえば、5年前に「シン・ゴジラ」という映画が公開されました。

 

これが実に面白く後にDVDも購入するほどハマったのですが、この映画を「世界のどこにも手がかりのない脅威をもった生物が現代の日本に現れると実際どうなるか」というシミュレーションだと思って観ると、なかなか今のコロナ禍に重ねて腑に落ちる映画だったと思います。

 

序盤、内閣官房の情報収集に時間がかかってしまい何の準備もないままにゴジラが東京に上陸し、詳細を知らされていない住民が突然に避難を強いられる場面があります。

その時の被害と混乱の大きさに「これ以上は都民の自主避難に任せるしかない」と都庁で知事が発言するシーンは特に印象に残っていて、この1年半の間に何度も思い出しました。

 

また、現行法で対処できない事案に政府対策会議が右往左往する様子や、総理大臣が閣僚たちの板挟みになりながらも立場を誇示するように振る舞う様子、その他数々出てくる政府内の混乱のさまは、初めて観た時より今こそ現実味を感じる場面でもあります。

 

こういった混乱は一部の特権層に悪者や愚か者がいるせいで、ということではなしに、この映画のように淡々と次から次につながって起こってしまうことなんだろうなと思ったことを覚えています。どんな大事なことであれ結局は人と人が決めて、人が実行していくわけで、そこに何らしがらみがないわけがありません。

 

ヒーローもカリスマも秘密兵器も出てこないこの独特な特撮映画の結末は、事態が全面解決ではなくいったん「凍結」を迎える形で終わります。犠牲者も数多く出ているし、国内外に副次的な問題も山積みで、何よりいつ再開するかわからない脅威とこれから共存しなくてはいけない。

 

まだまだ遠い復興を前に映画は終わるのですが、2021年現実の日本はまだ事態の凍結すらも迎えられていないようです。この映画からは、今この現実で心構えるヒントを大いにもらったような気がします。