平凡なディスタンス
【近況】
新米の時期も近いので改めて土鍋でご飯を炊く段取りを整理してみました。
・土鍋の選び方
家庭で土鍋を使ってご飯を炊くとき、面倒なのが「吹きこぼれ」の後始末です。
土鍋は大きく分けると横に広いタイプと縦に深いタイプに分かれます。ご飯を炊くのにおすすめなのは縦に深いタイプで、さらに蓋が二重になっているものは吹きこぼれがかなり抑えられます。
また、鍋の厚みはしっかり厚めのものを選びます。まれに雑炊鍋・お粥鍋という薄い土鍋があって、見た目がかわいらしいものが多いのですが火加減がむずかしいので注意です。
・米と水の量
米は研いだあと水を切り、30分置いてから炊きはじめます。計量した水に浸けておいても大丈夫です。
水の量は1合の米(150g)に1合の水(180g)です、
・時間
下記が実際に店でランチ用のご飯を炊く時の時間配分です。
ランチでは「おこげ」を作らないように炊くので、焦げ付きがほとんど残らず炊いた後の土鍋も洗いやすくなります。
ーー
強火(沸騰するまで5〜7分)
↓
弱火(7分)
↓
火を消す(11分)
ーー
「おこげ」を作るように炊く時の時間配分はつぎの通りです。
ーー
強火(沸騰するまで5〜7分)
↓
弱火(7分)
↓
火を消す(1分)
↓
強火(1分)
↓
火を消す(10分)
ーー
初めの沸騰させるまでの時間は、コンロの火力と土鍋の厚みや米の量によって変わりますが、重要なのはかならず「吹きこぼれるくらい沸騰させる」ことです。
吹きこぼれを恐れて沸騰が足りないまま火を弱めてしまうと、芯が残ります。炊き始めから強火ですばやく沸騰まで加熱することが、電気炊飯器で炊くご飯との大きな味の違いにつながっているようです。
炊き上がりのちょうどよいタイミングで蓋を開けると、ご飯の表面がまっすぐ水平になっています。このときがもっとも一粒一粒の食感がいい状態ですので、すぐに空気を含ませるように底からしゃもじで切るようにほぐします。
すぐほぐさずに放っておくと、鍋の曲面に沿うようにご飯の表面も凹んできます。こうなると底の方の米粒がつぶれてしまうので注意が必要です。
【何でもない話】
「cheesy」という英単語に「安っぽい、子ども騙しな」という意味があると知って深く納得した覚えがあります。
昔、仕事で商品撮影をしていたときに参考資料として雑誌やネットで料理写真を漁っていた時期のことです。
とろとろに伸びるチーズ、半熟卵のつぶれる瞬間、湯気たっぷりの鍋、といったいわゆる「シズル感」ある写真は、販促でウェブサイトやメニューブックに使うとお客さんの反応がよくなるので、自ずとそういった参考資料を集めて撮影に臨んでいました。
しばらくそんな日々が続くと、こういう写真ばっかりも少しくどいな…と感じるもので、そこでたまたま知ったのが冒頭の「cheesy」という単語です。
すでにこんな表現があるのかと感心した一方で、実際ネタに困ったときのチーズ頼りみたいなところがあったので、そんな心構えを恥じた記憶があります。
メニュー説明の言い回しなんかも気をつけないと安っぽくなりがちで、「とろとろ」「もちもち」「ふわふわ」あたりを多用するのは「cheesy」だなと注意しています。コンビニデザートのネーミングを見て回るのは良い勉強です。