炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

日々、ひとり綱引き

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【近況】

「日替わり定食」を1年くらい前から始めて、おかげでランチの客足がそれまでより随分安定するようになりました。

それまでは固定メニュー4つのみで1年ほど続けていたのですが、だんだんと日毎の来客の浮き沈みが目立つようになってきたのが始めたきっかけだったと思います。

 

日替わり定食を始めることに対しては、初め消極的でした。

毎日変わる献立を考えるのも手間だし、仕込みも日々変わるため、その負担を考えると気が遠い思いがしたものです。こういうとき、仕事にかぎらず何をするにも納得するまで準備をしておきたがる自分の性格が足を引っ張ります。

 

日替わりはバタつきそうなので週替わりではどうか、月替わりではどうか、と及び腰の判断になりかける局面も多々ありました。しかし、直感では日替わり定食に代わるベストの案はないだろうなとも感じていました。

結果、どうせ変えるなら思い切り変えてしまおうと自分を焚きつけて日替わり定食を導入したのでした。

 

変えろと命令するのも、無理ですと反発するのも、どっちかだけなら簡単だということがじつに身に沁みます。それだけに、上手くいった時の嬉しさはひとしおです。

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【おすすめレシピ本】

そうざい料理帳/池波正太郎

 

歴史小説を数多く残して、さらに食にまつわるこだわりや楽しみ方についても残したことで有名です。そのことは昔から知ってはいましたが、ほとんど歴史小説に興味がなかったこともあって池波作品に縁がなく、実際手に取ったのは今回が初めてでした。

 

作者が自宅で食べる日常の食事を取り上げた、日記やコラム的なものをまとめた一冊です。

あまり手が込んでいないシンプルな献立がほとんどですが、なぜそれを食べるか、どんなシチュエーションで食べるかに思い入れがこもっていて、自分でも試してみたくなります。

 

ほかにも、駄菓子屋の煮こごり、教室のストーブで温めて食べる弁当など、大正〜昭和の物がなかった少年時代に身近なものから「ごちそう」を感じとる話も多く描かれています。

のちのち美食家としても知られる作者ですが、その根底に「おいしく食べたい」という願いがつながっているのが印象的です。