芯から酔う夜
【スマホの写真から】
この時期ならではの「四方竹」です。
小さい竹のような見た目の、秋しか採れないたけのこで、主に四国で栽培されているようです。
薄く出汁で炊いて、天ぷらにして出しています。春のたけのこのような淡い渋みや濃い甘みはあまり感じられず、パリパリした歯ごたえと爽やかな風味が特徴です。
出汁に使う天然昆布が、年々減ってきています。
いつも立ち寄る昆布屋さんからは、確保できる在庫が減ってきているので一枚ものの昆布よりも写真のように成形した時に出る縁の部分を使って欲しい、と頼まれています。これでもじゅうぶん味と香りのおいしい出汁が取れますが、来年以降を思うと気がかりではあります。
海のさわやかな匂いと喉をすっと通る柔らかい旨みが良い昆布出汁の持ち味です。昆布は味を引き出すために採れてからも数年寝かせるということを踏まえると、早く元通りの収穫ができるようにと祈るほかありません。
【近況】
10日ほど前まではTシャツで家を出ていたのが、少し厚着をしないと寒くもなりました。しかし自宅から駅まで歩くとなんだかんだで汗ばむ中途半端な季節なので、まだ馴染むには時間が要るようです。急に寒くなっても気持ちが追いつかないので、未だアイスコーヒーやざるそばのように冷たい食事が欲しくなったりします。
しかし今くらいの季節に、冬が近づいた気配を読みとって冬の味覚を味わうとひときわ沁みます。おでん、熱燗、鍋もの等がテーブルにならぶと店内の空気もとたんに冬の匂いに変わるので不思議なものです。
時短解除のおかげで今年はどうにかそんな楽しみ方ができそうです。