ラフ目に案じて
【近況】
時短営業中なので、すこしだけ早起きしてランチの開店時間を30分早めています。ちらほらこの時間に固定で来てくれる方も増えました。
ランチといえばこの半年くらいでずいぶん魚が高くなってしまいました。バリエーションの一つとして日替わりの焼き魚定食をラインナップしていて、毎日のように価格を見てきましたが特に今は高いです。同じものでも大体さらに2割ほど上がっています。
焼き魚を注文される人はほぼ固定的で、安定して人気なのはやはりサバだと感じます。毎回かならず売り切れるのはサワラで、ほどよく上品なイメージが人気なのかもしれません。他によく使うのはアジ、ほっけ、スズキ、サケ、などがあります。
魚メニューを敬遠されがちな理由が「骨」の存在で、サワラが人気というのも小骨がほとんどないというのもあるかもしれません。
さきほど魚が高くなったとぼやきましたが、イワシの価格はほとんど変わっていません。
イワシは傷みやすいので、間違いなく良い鮮度で店頭に並んでいることが多くていつもうまそうだなと眺めています。それでもランチに入れるのは難しいだろうなと遠ざけてしまうのですが、その理由が小骨の多さです。
脂の乗ったピチピチのイワシをこんがり焼くとさぞかしおいしいだろうとは思うのですが、骨を気にしながら食べるお客さんを想像するとなかなか一歩踏み出せないところです。
【おすすめレシピ本】
くらしのための料理学/土井善晴
まだ読んでいる途中ですが、料理研究家の土井善晴さんの一冊です。レシピ本ではありません。
SNSやテレビで発言を見かけるたびにその温かい言葉の数々に癒やされていましたが、本は今まで手にとったことがありません。にこやかなイメージから勝手に、なんとなくふんわりとした耳障りのいいことだけが書かれているのかなと偏見を持っていたからです。
そんな風に思っていたら、先日ぐうぜん見かけたこの本の引用で「そもそも料理とは、消化の外部化です」という一節が目に入り、がぜん内容が気になってきて手に取ることにしたのでした。実際に目を通してみて、今まで自分の中で混沌としていたものがすっきり整理されたように感じる一冊でした。
家族で食べる毎日の料理はそもそもどういうものだったのか、現代はなぜ料理するという行為が面倒で大変な印象のものになっていったのか等、料理と食事を取り巻く歴史からわかりやすく説明してくれます。
最近は家で料理することを、・大変だから手を抜いたっていい・時短でおいしいレシピ・外食や宅配や家政婦さんでかしこく解決、といった言説が目につくようになりました。
以前からこれらは、家庭における毎日の料理づくりで苦労する人を応援しているようで、実は遠回しに負い目をもたせているのではないかという気がしていました。負い目を感じているかぎり、常になにか新しいモノやサービスにお金を出しつづける側にいなければなりません。
この本を読めば、そういった負い目が意識から取り除けるようになると思います。料理がうまくなる本ではなくて、生活に欠かせない食事を自分のペースで作り食べることができるようになる本だという気がします。