炊い処ぽんたんのブログ

大阪・肥後橋にある「酒と料理と土鍋ごはん」炊い処ぽんたんの近況と食にまつわる雑記です

見えなくても太るもの

【近況】

食事を提供する側の人間でありながら、自分の食生活は乱れやすいことで悩みがちです。

店ではあっさりした出汁を使った健康そうな一品を出したりもしていますが、個人的には揚げ物やファストフードやカップ麺といった脂っこいものはわりとしょっちゅう食べています。

 

夕食は夜の営業が終わって帰宅してからの時間に食事をします。さすがに夜にご飯等炭水化物をお腹いっぱいまで食べることはありませんが、食べて比較的すぐに寝るのであまり体には良くなさそうです。

朝は軽めに済ませるものの、昼はランチ営業をこなした疲労感をいいことに満腹よりすこし多めに食べてしまいます。

 

このサイクルの中のどこかで、食べ過ぎてしまう時が挟まると、体重的にも胃もたれ的にも体が重く感じる日が続きます。

 

仕事でカロリー計算もやっていたので、大体自分が1日にどれくらいのカロリーを摂っているかはわかります。前職で店長をやっていた10年ちょっと前なら、1日中立ち仕事をしていれば消費できていたはずのカロリーなのですが、そこは加齢のせいもあってかうまく消費できていないようです。

かつては毎晩のように仕事終わりにラーメン屋に牛丼店、居酒屋などに立ち寄って、さらにビールとおつまみを買い込んで帰るなどお腹いっぱい食べていました。それで今より10キロ以上痩せていたのは信じられません。

 

食べることが楽しみで生きているところは大いにありますが、食べることで健康を損なう心配をしているようでは楽しみも半減です。

そこで最近は、夜の食事をしてから次の食事まで12時間空けること、その間は間食もせず水かコーヒーだけ口にすることにしました。夕食を早めることも考えたのですが、営業時間の関係もあってなかなか難しいのです。そんなこんなで、2、3日続けただけでもなんとなくすっきりした気分になりました。

 

そうなると、いい気になってまた多少食べ過ぎてもいいんじゃないかという気になってもきます。こんなことをブログに書くのも、おなじ過ちを繰り返さないよう良い習慣を続けろよと自分に言い聞かせているわけです。仕事以外の部分でもこんなことで頑張っています。

 

【記憶に残ったお店の味 その6】

奈良駅近くの三条通りの途中を南に少し入ったところにあった「月吠(げっぽう)」という忘れられない店があります。

当時奈良駅近くにあった店舗の店長をしていたころに、一度だけ利用したことがあります。その時のことが夢の中で過ごしたような感覚だったので、たまに思い出すと不思議な気分になります。

 

場所は、三条通りの真ん中より西寄り、商店街が交差して民家や小さい店が密集するあたりでした。こぢんまりとした入口にはカウンターの一番端の席があり、それが奥まで続くことがなんとなくわかります。第一印象は、古くささのある和テイスト、民芸調の居酒屋のようです。

予約していたことを告げて中に案内されると、カウンターが途切れた奥には予想外に広い空間があることがわかります。

 

そこで店内の印象は急に西洋的なものになり、まったく外観からは予想もつかなかった内装に驚きます。奥は床が一段上がっていて、それに合わせて壁の雰囲気も変わっており、美術館の一角を切り出したような印象です。

御歳60歳くらいの紳士がサービスマンです。まるでホテルのレストランのようなスマートでさりげない接遇で、さっきまで奈良の町を歩いていたとは思えない空気にひきこまれます。

食事は今思うと、古典的なフレンチの雰囲気に和の要素が折衷されたようなものでした。たしか、青魚をマリネした冷菜、サラダ、牛のワイン煮込みやチーズ等を選んだように記憶しています。ワインを何杯か飲んでゆっくり過ごし、こんな店がこんなところにあったんだなあと店内の雰囲気を満喫して店を後にしました。

店を出ていつもの見慣れた風景に戻る感覚は、まさに夢から覚めたようなものでした。店内での時間をじっくり噛みしめながら帰途についた記憶があります。

 

しばらくして、この店がすでに閉店してしまったことを知りました。惜しいとも思いつつ、一度だけでも訪問できてよかったと心底感じたのでした。

二度と同じ空間は味わえないと思うと、記憶をたどるたびに美化してしまうような気もしますが、今も憧れの空間の一つとしてよく覚えています。

 

春の準備も後半戦

【近況】

メニューを変えるときや新たな取り組みを考えるときは、集中して時間を忘れてしまう楽しいひとときです。アイデア出しはただただ楽しいですが、実行に移すとなるとなかなか骨が折れます。

 

小さい店ですが、それでも何か始めるのはそれなりに準備がかかります。告知はどうやるのか、仕入れ先は、売価は、今ある在庫をどう売り切るか、備品は買い足すのか等々、空想を現実に近づけていく作業です。予算と、実際の営業中のオペレーションを考えるのは、まさに現実との戦いです。 

最初はいいアイデアだと思ったものも、進めていくうちに鮮度というかハリのようなものが失われる感覚にとらわれることもあります。結果、魅力がわからなくなって途中で投げ出そうかという気になることも多々あります。

 

そうやっていろんな制約や不安や調整に揉まれていくうちに、あらゆる要素がカチッと定位置におさまる予感のようなものがうっすら見えてきます。妥協の余地がない「納得感」が訪れるような感覚です。

ここまで来ると、目先を覆っていた不安がいったん消えて、ひといきに最後の仕上げに向かうことができます。そうやって新たな一歩が無事踏み出せたときというのは、なんともしびれる瞬間です。

苦労して生み出しても、全くと言っていいほど反響がないときもあります。そんなときは、そのまま続けるか、やめるか、やり方を変えるか決めることになります。このときも、やはりこの納得感が訪れるまで考えに考えを重ねることになります。

 

そんなこんなで、この2週間ほど空き時間にいろいろとアイデアを増やしながら過ごしていました。すぐ実現できそうなこともあれば、段階をきざんでいかないと先が見えない取り組みもあります。なるべく一つでも多く形にしていきたいと思う次第です。

 

【ぽんたんのキッチン紹介 その7】

「油」につきまして。

かつて仕事の関係で、食用油脂について調べたことがあります。

油脂メーカーさんに手伝ってもらい、様々な種類の油で揚げ物をつくり、どんな違いがあるか知るという検証がありました。

なじみの深いキャノーラ油、大豆油以外に、米油、コーン油、綿実油、ラード、パーム油など、それぞれに揚げあがりの風味が違いました。

それまで、食用油の種類について深く知らなかったので大変興味深く、その日のことは今もよく覚えています。

 

よく家庭では「サラダ油」というくくりで油を買いますが、サラダ油という油が何かの植物から採れるわけではなく、いずれか単一の種類の植物油か、ブレンド植物油です。スーパーで買えるサラダ油はだいたい、キャノーラ油のみか、キャノーラ油+大豆油というのが多いようです。

サラダ油という名称はたしか、サラダドレッシングに使える=常温で固まったり沈殿物が出ない、高度に精製された植物油のことを指していたのではないかと思います。

今時、精製度が低い油が出回ることがないため油といえば私たちにとっては薄く黄色がかった透明なイメージですが、昔は違ったのかもしれません。

 

当店では揚げ物はキャノーラ油のみ、サラダのドレッシングにはキャノーラ+大豆油のサラダ油を使っています。大豆油はキャノーラ油にくらべ、ほんのりまろやかさがあり、できれば揚げ油にも大豆油を使いたいところですが、キャノーラ油より高くなってしまいます。

キャノーラ油が他に比べ安価だから質が悪いというわけではなく、良くも悪くも特徴があまりないので使い勝手はよいが個性に欠けるといった印象です。

 

マクドナルドの揚げ油は常温では白く半固形ですが、牛脂とパーム油の混合油脂です(HPに公開されています)。あのフライドポテトの独特のくせになる風味は牛脂=ヘットの香りと旨みで、逆に植物油100%を売りにしているロッテリアのポテトにはあの香りはありません。

お肉屋さんに牛脂をわけてもらい、サラダ油とブレンドすれば家庭でも再現できそうな気もしますが、冷えたら固まりますので、後始末が面倒そうではあります。

なんとも食欲をそそる香りで、関西系串カツでは揚げ油に欠かせないものらしく、専門店ではほぼあの牛脂の香りが漂っています。

 

牛脂と聞くと不健康そうなイメージもありますが、動物の脂はいったん高温になると温度変化が少ないため油切れがよく、仕上がりはカラッとします。

旨みを感じやすいので、塩分が高くても気にならずおいしくて手が止まらないということはあるかもしれません。ほとんどの食べ物はそれ自体が不健康なわけではなくて、食べ過ぎる習慣が不健康なだけだと思っています。

 

逃げる二月と逃げぬ腹

【近況】

新型ウイルスの報道が増えた今月は、若干ですが夜の客足が遠のいているように感じることが増えています。

そんな中、週末の金曜日はこれまでのリピーターの方々であっという間に席が埋まり、満席でお断りしてしまった方もまたリピーターの方々だったりするほどでした。

断るのは申し訳ないと思いながらも、今月はずっとそんな調子でしたから、すがりたくなるような有り難さも同時に感じます。平和な日々が続いていると、こういう平時の積み重ねの有り難さにはまったく気づけないものだと反省しました。

 

ウイルス感染の拡大が続く中、自分は店も小さく固定費も少ないので今はまだどうとでもなりそうですが、これからもこの事態が長らく収拾しないとなるといろいろ先のことを考えなくてはいけません。今はマスクが欲しくてもなかなか買えませんが、そのうちマスクどころかこれまで通りの生活コストで同じ毎日が送れるのだろうかと考えることもあります。

 

リスクの全貌があきらかになる頃には、いろいろ考えて頭に整理しておいたことが何かしらの役に立つでしょうし、心配がまったくの杞憂に終わったとしても、決めた覚悟が1つでも多くあれば別の大事な何かを考えるときの足しになってくれる気がします。

やりたくて選んだ仕事をやり続けられるように、心構えを見直す機会が訪れているように感じています。

 

 

【ぽんたんのキッチン紹介 その6】

「メニュー名」について。

新たにメニューを加えるときは、注文がもらいやすくなるネーミングについてよく考えます。

 

毎回なんとなく直感で決めていますが、改めてそのバランスを整理してみたところ、以下の3点を意識することが多いようです。

①語呂と語感の良さ

②味と見た目の再現性

③そそられる期待

 

①語呂や語感がよいと、すんなりと口に出しやすくなるのかもしれません。

例の一つですが、「イワシのみりん干し」は「炙り小イワシ」 と名前を変えてからぐっと注文が増えました。

 

②名前を見たときに「ああ間違いないやつだ」と、味や見た目が思い浮かべやすいものは人気がぶれません。くわえて、あまり金額を気にせず注文しやすいようです。

たとえば「エビマヨ」「フライドポテト」「せせり」「チーズ」「沖漬け」といった単語がふくまれるメニューは、つねに安定した人気が続いています。

 

 ③「どんな料理か確信できない、けどおいしそうな気がする」といった感じで、どうやら期待をそそっているみたいだなと感じるメニューがあります。

例をあげると、「豚わさ」「フライド里芋」「牛スジじゃがバター」あたりがそういう印象です。

 

もちろんこの3つのバランスだけがすべてではなく、価格から受ける印象とのバランスや店内や季節の雰囲気、他のメニューとのバランスなど、いろんな情報から判断されていることでしょう。

ただどの料理もそれなりに時間をかけて仕上げたメニューなので、売れ残らないようにいい名前をつけてあげたいという気持ちでは臨んでいます。

 

純然たる日本食の料理名には、風情を感じたり洒落を利かせた素敵なネーミングがたくさんあるのですが、なかなかそのままの名前で気軽に受け入れてもらうのは難しいところです。

「竜田揚げ」などはすでに多くの人が理解して味わっているところですが、「信田巻き」「沢煮」「博多」「松風」あたりは、注文のハードルがぐっと上がる気がします。どれも手がかかるぶん、とてもおいしい料理なのですが…

 

目立たずとも誇らしく

【近況】

約2年ぶりくらいに「フードホール」といわれる場所で食事をしました。

自分が会社を辞めて店の開店準備をしていた2018年の初頭ごろに、大阪では何箇所かの地下街などでそういったフロアが続々オープンしていたと思います。

ファミリー利用を想定したフードコートと違って、お酒やおつまみが充実した大人のフードコート的存在。東京にいたころ、新宿駅のバスターミナルビルが改装してオープンした飲食フロアが、自分が初めて見たフードホールだったでしょうか。

今回は休みの日に家族と出かけたついでに、たまたま見つけたフードホールに立ち寄ったのでした。

 

まだ人生2回目のフードホール体験で、ステーキ、タコス、とんかつ、たこ焼き、フライドチキン等々、種種雑多なジャンルの店を見て回るとそれだけでワクワクしてきます。

いくつか店を回って注文し、呼び出しベルを受け取って席に戻ります。先に手渡されたビールを口にして出来上がりを待ち、呼び出されては受け取りにむかうこと3回。

 

しかし、よく慣れたフードコートと仕組みは同じはずなのに、お酒を飲む心がまえで臨むと、なぜか思っていたより調子が狂うことに気づきました。飲んでいる手を止めて歩き回るのが妙に落ち着かない。注文したものがテーブルに届くのは立派なサービスなんだと改めて実感しました。

ビール一杯飲み終えたところで、おかわりを考えるほどは調子が戻らず退散してしまいました。新しいものへすぐ順応できないのは、もう頭が若くないからだとさみしく痛感したのでした。

 

それにしても、駅ナカや駅近の好立地は、食事が高くつくのも場所代みたいなものだから仕方ないという時代はとっくに過ぎたようです。こういったフードホールや小綺麗な立ち飲みが増え、都会の便利な場所でも当たり前にリーズナブルな食事ができるようになって、肩を寄せ合うほどに人があふれています。街場で飲食店をするのはより工夫が必要な時代になったように思います。

 

【最寄りのグルメ その2】

今回は「カップ焼きそば」。

生まれ育った実家には、即席ラーメンおよびカップ麺の類はあってもなぜかカップ焼きそばがありませんでした。何となく縁がないまま、高校生になり、そのころ友達が食べていたのを少しもらったのがはじめてかもしれません。ガツンとくるソースの濃い味と匂いに感動したもので、就職して一人暮らしを始めてからは、多いときで週4,5回ほど食べていました。

 

さすがに今やそう何度も食べる機会はなく、多くて月に2、3回といったところです。そんな自分が定期的に買ってしまう定番カップ焼きそばが、「オタフクお好みソース味焼きそば」です。

 

かつて商品開発を担当していたころ、オタフクソース製のソースや調味料類のサンプルをたくさん頂いて味見する機会がありました。

同社のソース類には「デーツ」というフルーツが使われているのが特徴で、他社のソースにはない独特のコク深い甘みが強いのが印象的です。

また、同社の社員のみなさんはお好み焼き愛がとてつもなく深く、お好み焼きについてちょっと質問しただけで何倍も内容のある答えを教えてくれました。お好み焼きの技術的な社内マイスター制度を設けていたり、開業前のオーナー向けの研修を行うための施設を構えていたりと、普段の言動からもおいしいお好み焼きを一枚でも多く世に送り出す使命感がにじみ出ておられたのがまた印象的でした。

 

しかし、商品開発をしているとよくあることなのですが、その頃は味見をしすぎてサンプル品を見るのも嫌になってしまいました。何も同社の製品にかぎったことではありません。4時間くらいハンバーグの食べ比べをしてげんなりし、しばらくハンバーグを食べられなくなったこともあります。

商品開発からしばらく遠ざかり、スーパーで「オタフクお好みソース焼きそば」を見かけることがあっても、その記憶のせいでしばらくは食指が動きませんでした。

 

ようやくそんな記憶も薄れてきたころになんとなく手にとって休みの日に食べてみたところ、改めてオタフクソースのバランスの素晴らしさに目がさめる思いがしました。以来、定期的に買って食べています。

 

最近のカップ麺系のブームのひとつに、「辛味」「香り」「脂感」など、何か一つの特徴を極端に強めて印象に残すやり方があります。

一度だけ味わって楽しむ季節商品ならそういうのもいいのですが、通年食べ続けられる万能なやつとの付き合いはやはり大切です。そういう定番のおいしさという点ではこの焼きそばが自分にとっての暫定1位です。

 

あとから知ったのですが、おそらく最も有名なカップ焼きそばUFOは、かつてオタフクソースがオリジナルのソース製造を請け負っていました。諸々の事情があってリニューアルされ、今その頃のUFOの味は「オタフクお好みソース焼きそば」に引き継がれているそうです。

のどかな2月と一年の計

【近況】

寒くなり始めたここ3か月ほどの間では、一番ランチが賑わった週でした。春以降の人事異動がきっかけとなるのか、上司部下であったりお仕事仲間でランチを囲んでいるお客さんの姿が多く見られました。

 

当店のランチは定食スタイルが4種類とカレーライスから選べます。ご飯は白いご飯でおかわり自由、土鍋で炊いています。

オープン当初から、使用するお米は奈良県の中部よりにある高市郡高取町という地域にあるお米屋さんに注文しています。オープン前に何度か足を運びましたが、緑と山に囲まれたのどかな場所です。さらに南へ向かうと桜や杉で有名な吉野がすぐ近くです。

 

初めて伺ったときに、少量のサンプルをもらって炊き比べをしました。甘みのあるおいしいお米でした。比べてみて初めて、何気なく食べていたこれまでのお米との違いがわかりました。

まず、糠くさい匂いがありません。玄米から白米に精米するときの削りカスが糠(ぬか)ですが、自宅の米には独特のこの匂いが米に染み付いていました。

そして、米粒が割れたりせず揃っています。炊きあがったご飯を口にしたときに噛みごたえの違いとして現れます。割れたお米が多いと部分的に団子状になってしまうことがあります。喉ごしの良さにも関わっていそうです。

さらに、米粒に透明感があります。透明感のない白い米粒は、精米時に熱がかかりすぎて乾燥していることがおおく、甘みが抜けてしまっているそうです。

 

保管状態と精米機の違いがポイントだったようです。特に精米機の違いは大きいらしく、セルフ精米機コーナーで使われる機械は、素人でも扱いやすくて仕上がりが早くて壊れにくいものですが、その分お米に加わる熱や力が強いため食味で犠牲になる部分が多く、プロ仕様の精米機は操作性がデリケートな分、食味の良さも保つことができるのが特徴ということでした。

玄米で購入している人のために精米だけをお米屋さんが請け負ってくれることもあるようなので、金額と手間に納得できればプロの精米機で違いを味わう値打ちはあるように思います。

 

さらに聞くところによると、大昔に使われていたタイプの精米機も、米粒への負担が少ないのでおいしく精米ができるそうです。ただ、現代の機械よりずっと何倍も時間がかかるので今は誰も使わないとのことでした。こだわると行き着くところは手作業での精米になってしまうのかもしれません。

 

こういったお米に関する知識は、自分自身オープン当初に見知ったきりで、深めることができていません。今年はもっとお米の知識について知っていこうと思います。

 

【ぽんたんのレシピ紹介 その7】

当店で提供している「塩豚とポテトサラダ」というメニューです。

「塩豚」は、豚バラ肉を塊で塩漬けにしたもので、スライスベーコンのように薄く切ってフライパンでカリカリに焼いて、ポテトサラダにのせています。

 

ポテトサラダには、玉ねぎと裏ごししたニンニクが入っており、これが塩豚とも相性がよく、じゃがいものおいしさがよくわかるレシピになっています。

 

塩豚の分量

・豚バラ肉 塊で

・塩 肉の重量の3%

・グラニュー糖 肉の重量の1.5%

・香辛料 肉全体に好みの量で

※当店は黒こしょうのみ、他のスパイスやにんにく、タイムやセージなど豚肉に合うハーブも良い

※塩とグラニュー糖だけで仕込むと和洋問わず応用できる

 

①豚バラ肉に、塩とグラニュー糖、香辛料を混ぜたものを擦り込むようにまぶし付ける

②肉から出る水分が落ちるように、油切りバットや網にのせてラップをかけ冷蔵庫に1日寝かせる

③肉の表面の水分をよく拭き取り、ラップに包んでさらに2、3日寝かせると塩気がなじんで完成

 

ポテトサラダの分量

・じゃがいも 2玉

・たまねぎ 1/4個

・にんにく 3片

・マヨネーズ 大さじ2(30グラム)

・塩 小さじ1

 

①分量外の塩水(濃度は3%)を作り、スライスしたたまねぎを浸す

②にんにくは皮ごと鍋の水に入れて火にかけ、沸騰したら湯を捨ててまた茹でる→3回繰り返し、皮をむいて裏ごしに通す(包丁でたたいてペースト状にしてもよい)

③じゃがいもは芽があれば取り除き、適当な大きさに切って水から茹でるか蒸し器で蒸す。串が通る程度の柔らかさまで火を通す

④③のじゃがいもを熱いうちに皮をむき、ボウルに移してポテトマッシャー等で好みの粗さにつぶす

⑤じゃがいもが人肌程度に冷めてから、塩、マヨネーズ、にんにく、水気を絞ったたまねぎスライスを加えてよく混ぜる

 

 

にんにくはこのように何度も水を変えて茹でると匂いが控えめになるので、ほんのりにんにくの香りをつけたいときに重宝します。

じゃがいもは、熱いうちにつぶしたほうがさらっの上品な舌触りになります。冷めてからつぶすと粘りが出て舌触りがねっとりした仕上がりになります。

塩豚は1週間くらいは冷蔵庫に入れておけば使えますし、冷凍しておけば1ヶ月くらいは保存できます。

ベーコンの代わりにパスタやサラダに使ったり、ポトフやおでんの具として使うこともできます。柔らかくなるまで煮込むとしっかり旨みが出てきます。

 

 

※当店に関するあらゆる疑問質問、料理作りのお困り事等、店頭でもウェブからでもお気軽にお問い合わせください!可能な限りお答えいたします。

 

健康とくつろぎと

【近況】

春からは一定以上の規模になる飲食店は原則全面禁煙だそうです。当店はオープン当初から店内禁煙で営業しています。喫煙者の方には恐縮ながら店外で喫煙してもらってます。

理由のおおきな1つは、私の鼻が詰まりやすいためです。タバコに限らず、煙の強い場所にいるとすぐ鼻が詰まってしまいます。

 

タバコが吸えないなら、と帰ってしまうお客さんを見ていると、特に暇を持て余している日なら今日くらいいいですよと言いたくもなりますが、そんな事情もありますし、禁煙だからありがたいという常連さんもおられるので、そうもいきません。つくづくタバコの存在は面倒です。1日も早い無煙無臭のタバコの登場が待たれます。

 

個人的にはタバコは吸いません。が、タバコの匂いがあったほうが雰囲気が出るように思う場面はあります。

飲み会に行った時にガヤガヤと活気のある店内に料理と酒とタバコの煙が混ざった匂いがただよう雰囲気は、今日は飲みに来たぞ!という気分が盛り上がります。

今やすっかり足が遠のきましたが、ライブハウスや音楽スタジオには長年染み付いたようなタバコの匂いがします。あの匂いがあると、楽しもうという高揚感をあおってくれる気がします。

 

禁煙派も喫煙派も、おたがい我慢せず賑やかにくつろげたらいいのにとよく考えます。いつかそんな店が実現できたらいいなという気持ちがあります。

 

とはいえ基本的にはタバコの煙は臭い(最近の加熱式タバコ的なものも、同じく)と感じていますから、当店を喫煙可にする予定は当面ありませんが、タバコの匂いはいろいろ記憶や生活に焼き付いているものでもあるので、ごくたまに漂うぶんに風情を感じることは大いにあります。

 

ちなみにタバコの匂いよりも、ファブリーズなどの消臭スプレーの匂いのほうがより苦手です。鼻が中からふさがれるような、独特の息苦しさを感じるのは自分だけでしょうか。

 

【最寄りのグルメ その1】

平日の昼休憩は基本、毎日自分が作った賄い的なものを食べることになるのですが、自分が作った食事というものは味がわかるので安心して食べられる反面、なんの驚きも発見もありません。

飽きが来ると、最寄りのコンビニやスーパーでレトルトカレーカップ麺、惣菜、パンなどを買ったり、チェーン店でゆっくり過ごしたりしています。そんなどこでも入手しやすい最寄りのグルメのカテゴリ1位を勝手に決定します。

 

まず1回めのカテゴリは「唐揚げ」です。

今のところの暫定1位はローソン「鶏から」のシリーズです。

からあげクンやLチキと違い、レジ前に常温でプラカップに入って販売されている、4個入りくらいで200円の唐揚げです。

 

・常温であること

温め直せばいつでも食べごろを楽しめます。後述しますが、できたてを味わえない以上は常温保管にまさるスタンバイはないと考えます

・味の主張がちょうどよい

食べた後に、ニンニクや生姜などの強い臭いが口を支配することがありません。一口目からパンチある旨みといえばファミチキが秀でていると思うのですが、食べている間に匂いが周囲に広がるのと、食べた後に喉が乾くのが今ひとつで最近は食べていません。

・衣が薄い

つまらない唐揚げは衣でごまかしがちです。その分肉が小さくても大きさがごまかせるからでしょう。ひどいものになると、衣どころか大豆タンパクなどで肉の部分を保水・増量されているものがあり、鶏肉の割合が半分もない唐揚げに出会ったことがあります。

・リーズナブル

たしか税込200円だったでしょうか。鶏肉は庶民の味方ですが、鶏もも肉というのは正直そんなに安くないのです。当店の唐揚げランチもほんとうはもっとモリモリ唐揚げを乗せたいのですが、これまで何度も試算して何とか現状に落ち着かせています。努力を見習おうと思います。

 

コンビニのホットスナックといえばホットショウケースに保温されているのが当たり前という常識を、私の中で最初に壊してくれたのはミニストップのホットスナックでした。

つねづね、加温しすぎてカピカピに乾いたからあげクンやフランクフルトなどに辟易し、コンビニスナックからかなり遠ざかった時期がありました。そんな折に出会ったのがミニストップでした。

ホットスナックが常温で陳列され、購入を希望するとレンジアップしてくれる仕組みだったのです。これこそができたてに近い味だ、と感動しました。しかしスピード感が求められるコンビニにとって、レジ作業の手間をあえて増やすのはさぞかし議論があったのではないでしょうか。

 

これは、炊いたご飯にも言えることですが、出来上がった料理を、食べごろを過ぎても保温するのはじつに愚かなことです。加温しつづけて水分を失ったものをボソボソたべるより、できたてを冷ましておいて温め直したほうがよっぽどおいしいということを、声を大にして申し上げたい次第です。

割らない度胸

【近況】

ところどころで忙しい瞬間もありましたが、概ね静かな1週間でした。

繁忙期の山が落ち着いて谷をむかえる時期は、毎回メニューを見直す機会にしています。前回メニューを作り直したときに熟考し納得して始めた価格とラインナップも、見直すタイミングになると、このメニュー何でこんな価格にしたんや、となることは必ずあります。

 

しかしながら、店を始めたころを思い出すと、我ながらだいぶ融通が利くようにはなってきたなと思います。当初はやはり、初めての自分の店ということもあって、不安とこだわりが先走り過ぎてデコボコといびつな手触りのメニューラインナップでした。

微妙に追加注文を悩む価格、味が想像しにくいメニュー名、シェアしにくい量など、それぞれにこだわる理由はあったのですが、考え過ぎてどんどんお客の視点がわからなくなっていたのが正直なところです。初めのころのお客様にとっては、使い勝手がよくわからん店だという印象があったことだと思います。

そんなこだわりも、お客様の反応や声や視線にさらされるうちに徐々に角が取れ、まだまだデコボコではありますが、ずいぶんとなめらかにはなってきたように思います。

 

しかしながら、このままただまんまると特徴のないメニューラインナップになってしまうのも面白くありません。これからも時間はかかるでしょうが、いい感じにゴツゴツした手ごたえのあるものにしていきたいと思います。

 

【ぽんたんのキッチン紹介 その5】

食器の話です。

開店するずっと前から、店をやるなら和のテイストで居酒屋料理というイメージだったので、オープンする1年ほど前から少しずつイメージに沿った食器を見つけては買うことにしていました。

 

かつては商品部だったこともあって、食器類の仕入れを担当することもあり、何度か社内で食器のプレゼンをしていたこともありました。おかげで業務用の食器カタログはわりと目を通すことが多く、陶磁器のおおまかな種類や大きさ、形のバリエーションの知識は若干通じることができました。

 

業務用食器というのは、壊れにくく、安価で、洗いやすく積み重ねしやすく、急な大量仕入れにも対応できるものが重宝されます。

ただ今回店を開くにあたっては、枚数もそんなにいらないし、壊れにくいに越したことはないものの、似たような食器だらけでも面白味に欠けるだろうというので、街場の食器屋さんを回ったり、産地を回って少しずついろんな種類を買うことにしました。

 

特に、リーズナブルでバラエティ豊かな食器を見て回れる岐阜県土岐市の産地周辺ではかなり収穫がありました。廃番になって店頭在庫だけの器などは、こういうところでないと見つかりません。

日本料理店や割烹などで使われるような、洗練された繊細な器には、料理の質的にも金額的にも全く手が出せませんが、時間があるときは食器探しのヒントになればと思い専門書などでじっくり写真をながめるようにしています。

 

ちなみに、お洒落な雑貨店などで食器類を買うときは、外の光か自宅の照明に近い明るさの光のもとで検討するのがよいようです。

光には色温度というものがあり、洒落た間接照明や薄暗い店内でディスプレイされた姿は魅力的に見えがちですが、帰って開けてみると思ってたのと印象が違うことがあるからです。

 

※当店に関するあらゆる疑問質問、料理作りのお困り事等、店頭でもウェブからでもお気軽にお問い合わせください!可能な限りお答えいたします。